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平成11年12月号 第149回

武安義光

「称号・段位制度と運用の見直し」前半の事業を終える

去る11月2日の理事会・評議員会の議を経て、6月に制定された、剣道称号・段位審査規則の実施面の事項についての細則・実施要領が決定し、平成12年度からの施行の枠組みが固まりました。一昨年秋から見直しの審議に取り組み、約2年の日時を経て、ここまで到達したわけで、ある種の感慨を禁じ得ませんが、これまで立案や審議にご尽力戴いた多くの方に、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

しかしこの事業の目指すところは、称号・段位の性格を明らかにし、適正な運用を行うことにより、剣道の奨励と振興を図ることにあります。従って枠組みが出来たことは前半の仕事が終わったことを意味するのであり、いよいよ後半の事業である、新しい制度の実施、実行に向かって取り組んで行かなければなりません。

この仕事、全剣連の仕事も多いのですが、各剣連に担って戴く分野が大きく、相携えてその実をあげて行かねばならないと感じます。よろしくご理解、ご尽力を戴くことをお願いしておきます。

全日本剣道選手権大会で宮崎正裕選手2回目の連覇

11月3日の第47回大会で、宮崎正裕選手が2回目の連覇による、6回目の優勝を飾りました。前人未踏の偉業と言うほかありません。

戦評は他に譲りますが、全般的にはキビキビした試合が続き好感の持てる内容の大会だったと感じました。準決勝に教員が二人食い込んだのも立派でした。一方選りすぐった審判団でしたが、大事なところで疑問の残る判定が目に付いたのは、残念とも言えますが、剣道審判の難しさとこれに付きまとう宿命の問題というべきでしょうか。

さてこの大会にあたり若手学生委員が裏方で差剛、試合結果をホームページで速報しました。これについては当日、翌日にわたるアクセスは約2万件、そのうち数千件は海外からという大きな反響がありました。後に記したシンガポール行きの際、現地で稽古した駐在の方から、全剣連ホームページで逐一経過を知ることができたと喜ばれました。作業された学生委員の労を多とするものですが、情報入手へのニーズは至る所でこんなにも多いことを、お互い肝に銘じる必要がありましょう。

5人の方に剣道功労賞、53人に剣道有功賞を贈呈

第5回になった剣道功績者の表彰は、各剣連と全剣連から推薦のあった候補者について、10月20日の選考委員会で審議し、表記の方々の候補者を内定、11月2日の理事会で決定、翌3日付けで発令の運びとなりました。

いずれの方も長年にわたり、剣道の普及と発展に尽力され、功績のあった方々で、全剣連として感謝するとともにお慶びを申し上げます。今回受賞者には海外の方は含まれず、功労賞受賞者もこれまでの最少となりました。功労賞受賞者に対しては11月16日、東京・九段会館において贈呈式を行いました。また有功賞は11月中に、それぞれの推薦団体に賞状と共に送られます。

さて剣道は先の大戦後に、現在では想像できない危機に直面しました。今回の受賞者はいずれもこの時期に剣道の存続を図るため苦心し、またその後剣道の伝承と復興に尽力してこられ、剣道界の恩人と申し上げるべき方々です。

最年長の江上後郎さんは国士舘の第1回の卒業生で、本年92歳になられます。敗戦後占領軍によって剣道が弾圧された時期に、その存続を図って活動され、また主権を回復して全剣連が発足した後も、剣道の復興と発展を支える活動を、剣道界の表舞台に立つことなく、支えていただいた数少ない現存の方です。贈呈式には貞明皇后(大正天皇妃殿下)より拝領されたという和服姿で元気にお出かけになり、喜んで戴きました。

平成12年度の行事予定が内定

11月2日の理事会・評議員会で大筋が固まった、来年度の行事予定が提案され、例年通り内定となりました。大会の構成は例年とおりで、剣道東西対抗大会は鳥取市で、国体は富山県庄川町で、全日本居合道大会は大分市で開催されます。

12年度より施行される称号・段位審査では、まず各道の九段審査は行いません。称号では、範士審査は例年と同じく5月に京都で行いますが、錬士、教士の審査は春は行わず、秋の東京からの実施になります。これは六、七段取得後、称号受審のための期間を必要とすることになったためです。

この他社会体育指導者講習では、中級の講習が始まります。詳しくは「剣窓」平成11年12月号に別掲の記事をご覧下さい。

学識経験者8氏を顧問に委嘱

11月の会議に諮って、8人の方を顧問にご就任戴くことになりました。実業界を始めとする各界のトップの方で、いずれも剣道を愛好された方々です。広い視点から剣道、剣道界の在り方についての助言を戴きたく存じております。

天皇陛下御即位10年をお祝いする国民祭典に若手剣士参列

11月12日に天皇御即位10年を祝う行事があり、国立劇場で行われた政府主催のものの他に、広く国民が祝う国民祭典が、皇居前広場で行われました。祭典には10年のご事蹟の関係者、各界代表者のほか、スポーツ界で活躍している方として、武道からは柔道とともに剣道界から宮崎正裕、大塚真由美の二人が代表として選ばれ、各界名士とともにステージに登壇、数万といわれる参列者に紹介されました。あいにくの天候でしたが、陛下のお出ましの頃には雨も上がり、内閣総理大臣の祝辞や、行事があり、陛下のお言葉の後、万歳三唱で奉祝の集いを終えました。

断片

(1)中村前副会長叙勲

11月3日に発表された秋の叙勲で中村龍夫前副会長(現審議員)は、長年の産業発展への功績により勲二等瑞宝章に叙せられました。剣道界としてお慶び申し上げるとともに、今後ともご健勝に、社会のため、また剣道の発展にご尽力戴くことをお願い致します。

(2)剣道界最長老佐藤 貢さんご逝去

全剣連顧問、元雪印乳業社長、会長を勤められた、佐藤 貢さんは、9月26日に亡くなられました。佐藤さんは今年100年を迎えた京都武徳殿完成の一歩前の明治31年のお生まれ、101歳の高齢でした。若い時から剣道を修業され、戦後は北海道剣連会長を18年にわたって勤められ、全剣連副会長にも就任されるなど、剣道界の外から剣道の発展に長年ご尽力戴きました。全剣連としては、3年前剣道功労賞を差し上げましたが、札幌市の自宅にお届けした際、大正時代の武勇伝を話されるなど、お元気で大変喜んで戴きました。天寿を全うされたとはいえ、哀悼の念にたえず、皆さんとともに剣道人最長老のご逝去を悼み、ご冥福を祈りましょう。

(3)シンガポールを訪れて

11月はじめ、仕事が一段落した機会を利用、久方振りにシンガポールを訪ねました。休暇で行ったのですが、結局現地の剣連や在留日本人の方とお会いし、ご厄介にもなり、日曜日の合同稽古会で汗を流しました。会場はチャンギ空港に近い、日本人学校の体育館でした。

日本人子弟も数多く集まりましたが、現地の方々をはじめ日本人も、小学生や付き添いのお母さんともどもそれぞれ4、50人という予想外の人数で、基本から始まる錬成に真剣に取り組んでおりました。

シンガポールは淡路島ぐらいの広さの島国の都市国家で、経済の面では東南アジアの経済交流の基地として繁栄しております。企業関係で駐在する日本人も多く、剣道発展の素地は十分です。西松建設の筑紫さん、牧師の加藤さんという珍しい職業の指導者たちが、本年北本にも見えた現地の剣連の曽会長などとともに、それぞれ分かれて指導に当たり、来年の世界大会を目指しての訓練も行うなど、熱心に取り組んでおります。

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