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平成21年09月号 第266回

(財)全日本剣道連盟会長  武安義光

  八月を迎え暦では秋を迎えましたが、梅雨の延長のような気象が続きます。

  今年は大きな被害もなく真夏を迎えると期待しましたが、その後西日本での集中豪雨による被害がでたことはお気の毒に存じます。続いては早くも台風の襲来が伝えられています。 気象の見通しが難しくなったのは、地球温暖化の影響かと見られますが、これが進めば海水面の上昇に繋がることが心配されます。

  国際政治での大問題である二酸化炭素の排出削減のためには、今後国民経済で厳しい努力が必要ですが、日本にも影響が来るであろう低地での対策を検討、準備を進めなくてはなりません。このような長期的に対応を考えていくべき問題は他にも多々ありましょう。

  この時期に4年振りの総選挙が行われます。各党のマニフェストを見ると、目前のサービス合戦の様相が顕著です。しかし当面の問題を越える長期的方策を行うべき領域は多々あります。環境対策のほか、国の安全保障問題、教育問題いずれも同様でしょう。

  試合直前の猛練習も必要ですが、生涯にわたる人間形成を目指すための方策を大事にするお互い剣道人は、目前の飴に目を奪われず、当面耐えるべきは耐え、真に長期の道筋を進むべき政治を期待し、そのための選挙を行いたいものです。最後に剣道人候補の健闘を祈ります。


初の全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会で新潟県が優勝飾る

  全国家庭婦人剣道大会を組み替えた標記大会が、各剣連代表の精鋭女子剣士を7月18日、日本武道館に迎え覇を競う熱戦を展開しました。

  下馬評は高くなかった新潟県と岡山県が決勝で対戦、新潟県が良い動きで優勢と見られた岡山を下して見事優勝、優勝旗・優勝扇を獲得しました。

  両県とも4月の男子の大会では1回戦敗退組です。人口の多い大都市圏を抱える剣連チームのつぶし合いはありましたが、強豪県を下しての健闘は、この大会の今後に新たな役割を期待させるものがありました。

  4月の男子大会と同じく、高校生・大学生を先鋒・次鋒に据えた対戦は、初めから活気ある展開を演じてくれました。今回は試合方式変更後初めての大会であり、各剣連とも選手の選抜、訓練など準備の時間が足りなかったかと思いますが、次回以後にはもっと充実した試合が展開されることを期待し、各剣連の実力底上げに役立つ大会になることを確信します。

  振り返って25回の歴史を重ねた家庭婦人剣道大会を顧みると、この大会が剣道普及と一般の理解向上に果たした役割は大きなものがありました。しかし昭和40年代の経済成長期に興隆した、ママサンバレーにあやかって始まったとみられる大会であり、歴史の浅い女子剣道の普及を表に出した、レクリエーションとして取り上げたものであったと思います。

  女子剣道が盛んになった現在、全剣連の取り組みとして、この形の大会より男子と並ぶ今回のような大会に組み替えていくことは、歴史的に見ても望ましい方向と考えています。戦後遅れてスタートした女子剣道では、試合時間などで、男子と差をつけて、いわば未熟児的扱いを受けてきた面がありました。全剣連はここ数年この差別をつぎつぎと改め、男子と並んだ運営を行うようにしてきております。

  本年度の改革により、大会の種目としても女子剣道が、男子と並んだ形になったことは、女子剣道の新しい発展を見据えた、改革の年としていきたいものです。

  ただ内容的には改めるべき点が目に付きました。たとえば試合進行を知らせる表示やアナウンスが不十分だったことはその一つです。観客の数もこれまでの閑古鳥が鳴く状態から改善の方向にあります。主催者側としてもっと皆さんに満足して貰える運営に留意していきたいと思います。


日本武道館を彩る夏の華、全日本少年少女武道(剣道)錬成大会

  例年夏休みの2日間にわたる少年少女武道錬成大会が、7月25.26の両日、日本武道館で行われました。

  一頃より参加者が減っていることは否めませんが、入場式を終えた少年・少女によって埋められた武道館アリーナの風景は、剣道界、社会を支える子供たちへの期待で膨れ上がり、夏の華を見る思いがします。

  打ち合いだけでなく、基本打ちの良否を勝負に取り入れた試合方法は、審判の難しさはあっても定着し、少年剣士の成長に効果をあげていると評価されます。この後開かれた2日間の道場連盟の大会とともに、武道館を華で彩る夏の行事が繰り広げられました。

会場一杯の少年・少女剣士達(筆者写す)
会場一杯の少年・少女剣士達(筆者写す)

大阪・舞洲アリーナでの全国高等学校剣道大会盛況

  毎年全国各都道府県が持ち回りで開催する高校総体の剣道の部は、本年は大阪で行われ、桜島駅から埋め立て地に渡っての舞洲アリーナで、8月3~5日に開催されました。

  久方振りに大会最終日に会場を訪れました。観客席が応援・観戦の人々で埋められている中、団体戦トーナメントの活気ある試合が展開されていました。

  男子決勝は、準決勝戦で九州学院(熊本)を下した桐蔭学園(神奈川)と、福大大濠(福岡)を下した水戸葵陵(茨城)との、ともに九州勢を破った関東勢同士の試合となり、大将同士の決戦で水戸葵陵が栄冠を勝ち取りました。

  女子の部は、島原(長崎)が、攻め続ける地元PL学園(大阪)を捌いた形で、圧勝し優勝しました。

  個人戦の男子は塩谷匡彬(明徳・高知)、女子は前田紫帆(PL学園・大阪)がそれぞれ優勝、充実感ある大会を終えました。各学校・各選手それぞれ立派に戦っていた印象でした。

  審判については、鍔競り合いが長引くと反則とする指導的運用を行っていますが、少し分かりにくい印象を受けました。

個人戦男子入賞者(筆者写す)
個人戦男子入賞者(筆者写す)
個人戦女子入賞者(筆者写す)
個人戦女子入賞者(筆者写す)

目白押しの夏の大会・講習会

  いくつかの行事を紹介しましたが、夏は大会、講習会が続きます。

  大会では学校関係の全国教職員大会があり、中学校体育必修化に備える講習会が続きます。全国高等学校定時制・通信制大会、全国中学校大会、全国高等専門学校大会があり、月末には夏の行事とはいえませんがブラジルでの世界剣道選手権大会を迎えます。

  夏はまた審査のシーズンでもあります。剣道六段審査が秋田で、七・六段を続けての審査が福岡で、杖道の七・六段審査が講習会と併せて札幌であります。

  講習会では各地での後援剣道講習会のほか、目玉と言うべき選抜特別訓練講習会(骨太剣士養成講習会)の第三期が始まります。

  執行部も8月18日には事業調整連絡会議を開催、運営に万全を期します。こんなことで担当の方は休みのない夏を送ることになりますが、錬成だけでない、多くの人の出会いもある、充実した夏が持たれることでしょう。


GAISFの武術大会の構想

  国際競技団体連合(略称GAISF)のことは、すでに何回も取り上げており、国際剣連として剣道の名で加盟しています。

  この団体の中に武術グループがあり、10余りのスポーツ団体が加わっています。ここで武術の世界大会を開くことになり、来年秋中国・北京で行うことになっています。

  ところが大会の名称、我々はMartial Artsという名称で行うことと理解していましたが、事務局の方では、観客動員などの事情からCombat Gamesとする意向が示されました。

  国際剣連としては反対の意見を伝えましたが、他のほとんどの団体がこれに賛成しており、この名称で行うことになります。まあ格闘技大会とでもいうことでしょう。

  国際剣連としては、演武の内容は、剣道への理解を深める内容として実行する方針で、サンパウロで開かれる理事会・総会に諮って実行方針を決めることを予定します。


断 片 世界大会制覇を目指す日本チーム最後の仕上げ

  月末の大会を前に、代表団の剣士は最後の仕上げに取り組んでいます。

  大会で最高の力を発揮して、3年前の屈辱を晴らし、成果を収めてくれることを確信しています。


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