図 書
現代剣道百家箴
剣道修業上の信条について
杉江 憲(剣道範士八段)
私は、剣道修業において最も大切なことは勝つ剣道を練習することであると思う。
いかに理論に徹していても、又、けい古が強くて技術に秀でていても、いざ試合に臨んで勝てない様な剣道では本当の剣道とは言い難いと思う、試合に臨めば必勝の信念が最も大切である、而し強者必ずしも勝を得るとはいえないが、試合をする以上悔いのない試合が出来なければならない。
即ち、平素基本に徹した、オーソドックスなけい古を主眼にして、常に先をもって相手を制する気構えにて、一本一本を大切に、心をこめ気合の入った打突にて、真向から、心を打つ、ことを心掛け、けい古即試合、試合即けい古、の精神を根本に日夜練習に練習を重ねることが最も大切である。
又、理論についても決して軽視することなく、常に先人の訓えを尊び勉強しなければならぬことは言をまたない。
私は、以上の信条を常に心に秘めてけい古に励み、試合に出場してきました、又将来もこの精神をもって一生剣の道に精進したいと念願しています。
*現代剣道百家箴は、1972(昭和47)年、全剣連20周年記念事業の一つとして企画された刊行物です。詳しくは「現代剣道百家箴の再掲載にあたり」をご覧ください。