女子委員会
熊本県剣道連盟副会長就任にあたって
三嶋 久美(熊本県剣道連盟副会長)
副会長としての抱負をお聞かせください
今回、熊本県剣道連盟・副会長に就任するにあたり、自分自身の役割を考えた時、まずは「女子剣道の強化」と「女子剣道環境の整備」のために尽力することだと考えています。このことは、今年1月に急逝された泉勝壽前会長が、これまで常に先頭に立ってご尽力いただいてきた課題であり、その意志を引き継いでいくことが、私の役割であると受け止めています。
私が熊本県の常任理事として着任した10数年前から、泉勝壽前会長からは、「成年女子が活動できる環境の整備と競技力強化の必要性」を常に問題提起していただいていました。
また、尾方正照新会長からも「女子の競技力強化」は熊本県の重点目標に掲げていただき、熊本県剣道連盟としても後押ししていただいている課題です。この夏、13回目にしてようやく「全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会」で優勝することができたのは、熊本県でのこうした力強い後押しがあってのことと実感しています。
こうした成果を求めることもですが、熊本でも「女性がいくつになっても剣道を楽しめる環境」を整えてくことも、重要な課題として尽力していきたいと思います。
熊本県剣道連盟では、「5年、10年後を見据えた剣道人口の拡大」を新体制の努力目標として掲げています。剣道のすばらしさを一人でも多くの人に伝えて行けるよう、女性として、少年指導者として、自分世代の代表としての観点を持って、自分にできることを求めながら熊本県剣道連盟の発展のために、微力ながら力を尽くしていきたいと思います。
少年・女性委員長としてのこれまで
熊本県剣道連盟常任理事、少年・女子委員長に就任した2007年からは、国体、家庭婦人大会→全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会の監督として、強化事業の実施や週に一度、学生から大人(現在67歳が最高齢)までが集って稽古する「女性だけの稽古会」を行うなど、特に成年女子の競技力向上に取り組んできました。
また、熊本県では「熊本県女性剣道愛好会」(嶽下秀子会長)が結成され、同会主催の「熊本女子剣道大会」が30年前から開催されています。
当初は、小・中学生の個人戦と一般女子(3人制)の大会でしたが、全国的な女性剣道の広がりと同時に、部門数も拡張され、県外、時には海外からの参加もあり、現在では約900名が参加する大会となっています。この大会は、企画から大会準備まで全てこの愛好会の会員の手で行われており、大会当日の運営には熊本県剣道連盟をはじめ、たくさんの先生方の協力を得ています。
参加者は、剣道を始めたばかりの子ども達や、子どもと一緒に剣道を始めたお母さん選手から、全日本大会や世界選手権で活躍されている選手、還暦前後の選手まで幅広い大会となっており、この大会の積み重ねが、熊本県での「女性もいくつになっても剣道ができる」環境づくりの礎になっています。
女子剣道界への期待
「全国家庭婦人剣道大会」が「全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会」に移行した10数年前、副将35歳以上、大将45歳以上の部の選手を探すのが一番の課題でした。しかし、回を重ねるごとに各県の選手層も充実し、全国的な女性剣士の競技力の向上を実感しています。大会等、活動の場があることが、普及と強化には不可欠であることを思えば、今後も成年女子の年齢層も広げた活躍の場がどんどん広がっていくことを期待します。
また、1回大会から、女性の審判員が導入され、今大会では佐藤厚子先生(全剣連女子委員会委員長)が閉会式で講評を述べられたのは、剣道界における女性の位置づけに大きな変化を感じました。ここまで来るのにはたくさんの方の努力があってのことだと思いますが、オリンピックにおける他競技での女性の活躍を見るとき、剣道界に於いても、もっといろいろな場面で女性が活躍していける環境を創っていけたらいいなと期待しています。
略 歴
- 熊本県出身
- 小学校4年生より、地元道場で剣道を始める
- 國士舘大学(体育学部)卒業後、1985年4月から熊本県公立学校教諭となる
- 現在、合志市立西合志南中学校勤務
- 2007年から6期12年、熊本県剣道連盟常任理事(少年・女子委員長)
- 2021年4月、熊本県剣道連盟副会長に就任
- 剣道錬士七段