公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

普段からアンチ・ドーピングを意識(コラム31)

 全日本剣道連盟の「剣道試合・審判規則 第3章」の禁止行為の中に「禁止物質の使用・所持」という条項があり、第15条に「禁止物質を使用もしくは所持し、または禁止方法を実施すること」と明記されています。誤解があるといけないので敢えて付け加えますが、アンチ・ドーピングは、試合にだけ適用されるのではありません。普段から意識しておくべきことであり、通常の剣道の稽古や鍛錬の過程においても気をつけておくべきことです。大人だけではなく、小中高生も含めて、剣道をするすべての人に意識して欲しい事柄です。この点、アンチ・ドーピングをわかりやすく説明した小冊子「剣士のためのアンチ・ドーピング マニュアル」が全剣連オンラインショップから300円で購入できます。是非、ご一読ください。

 このマニュアルでも触れていますが、いくつかの間違いやすい例を挙げます。たとえば、「風邪をひいたので、薬局で風邪薬を買ってのんだ」というのは、要注意です。風邪薬は症状を和らげるだけで治療薬ではなく、しばしば、興奮剤などの禁止されている物質が入っているからです。どうしても風邪薬をのみたい場合には、あらかじめ日本スポーツ協会の「使用可能薬リスト」(スマホで簡単にダウンロード可能)の中から選ぶことがすすめられます。

 また、「稽古後の疲労回復のために栄養ドリンクを飲んだ」というのも要注意です。栄養ドリンクの中には禁止物質を含むものがあるからです。栄養ドリンクは、医薬品ではないので、前述の日本スポーツ協会の「使用可能薬リスト」には含まれておらず、どれが大丈夫かは簡単にはわかりません。栄養ドリンクに頼るよりは、食生活に気を配るほうがよいでしょう。

 「漢方は自然のもので穏やかなので、漢方に頼ることにしている」というのも要注意です。漢方は、会社ごとに成分が微妙に異なり、禁止物質が含まれていることがあるからです。このために、漢方薬は前記の「使用可能薬リスト」には含まれていません。

 禁止物質が入った薬は、知らずに飲んでもドーピング違反に問われる可能性があります。くれぐれも普段からご注意ください。

アンチ・ドーピング委員会
委員長 宮坂昌之

* この記事は、月刊「剣窓」2020年11月号の記事を再掲載しています。