公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

女性とアンチ・ドーピングについて(コラム9)

女性特有または女性に多い病気の治療薬の中にドーピング禁止物質が含まれていることがあります。選手が知らずに使用して、うっかりドーピングとなってしまう危険性があるので注意しなければなりません。そこで、今回は特にドーピング対象の大会に出場する女性選手が気をつけなければならない薬やサプリメントについて紹介します。

女性には子宮内膜症、生理不順(月経周期異常、無月経)などの女性ホルモンに関係する疾患があり、スポーツ選手に多い傾向にあるといわれています。子宮内膜症に使われる蛋白同化剤や、生理不順の治療に使用する排卵誘発剤の中にはドーピング検査で違反となる薬があります。また、生理不順の方は若い人でも女性ホルモン(エストロゲン)の値が低く、骨粗鬆症となることも少なくありません。この治療薬の中にも禁止物質が含まれているものがあります。使用可能な薬も沢山ありますので、婦人科医師に相談して処方してもらうようにしてください。

関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病も女性に多い疾患の一つで、治療に副腎皮質ステロイド(糖質コルチコイド)を使用する場合があります。これは競技会検査の禁止物質に指定されています。治療のためにどうしても使用しなくてはならない場合には、大会前にTUE(治療使用特例)を主治医に書いてもらい提出しなくてはなりません。

最近、美容やアンチエイジング(若返り)、ダイエットのためのサプリメントが充実しています。サプリメントは医薬品ではないので、成分を全て表示しなくてもよいことになっています。美肌や若返りサプリメントにはステロイドや女性ホルモンが、ダイエットサプリメントには興奮物質や利尿剤が含まれていることがあります。これらはドーピング検査では禁止されている物質となっているので、できるだけサプリメントに頼らず、バランスの良い食事を摂るように心がけてください。

アンチ・ドーピング委員会
委員 門野 由紀子

* この記事は、月刊「剣窓」2015年2月号の記事を再掲載しています。