明けましておめでとうございます。
皆様、夫々穏やかで良いお正月を迎えられたのではないかと思っております。昨年を振り返りますと世界も日本もそれ程大きな問題も発生せず、まあ、穏やかな1年と言って良かったのではないでしょうか。
このような中で、私共、全日本剣道連盟は、昨年も多くの行事を計画し、それに沿った活動を行って参りました。
色々な大会で活躍された選手の皆様、それを支えて下さった皆様に、心より御礼を申し上げます。
さて、剣道界では「全日本剣道選手権大会」を始め、多くの全剣連主催大会、また、全剣連が共催・後援する「全国青年剣道大会」、「全日本学生・女子学生剣道優勝大会」、「健康福祉祭剣道交流大会」、「全日本少年少女武道(剣道)錬成大会」や「全国道場少年剣道大会」等々、数え上げればまだまだ沢山ありますが、多くの大会が開催されました。剣道が日本の武道の代表の一つとしてしっかり定着していることを強く感じ、大変嬉しく思うと共に、戦後剣道をここまで復活させて下さった我々の先輩の方々に心から感謝の念を捧げたいと思います。
数多くの大会が盛大に、成功裡に実施されている一方、我が国の少子高齢化・人口減少は、剣道にも影響を及ぼしています。初段合格者数は、このところ年々減少しております。子供達の人口減少と比例しているとはいえ、剣道の未来への継承のためには、数多くの少年少女の剣道人口拡大・普及が大きな課題です。
そんな中、女性剣道人口は着実に増えています。初段合格者数の3分の1が女性であり、七段・六段という高段者における女性の比率も高まっています。こうした状況に鑑み、全剣連は昨年、初めて女性役員2名を選出し、女性の方々だけの「女子委員会」も発足させました。今後はこれらの方々を中心に、女性剣道の益々の発展を図っていこうと考えています。
「少年少女への普及」、「女性剣道の発展」等を視野に据え、今年も全剣連は、昨年と同様、大変多くの大会・審査会・講習会等々を企画しております。一人でも多くの皆様が、日頃の鍛錬を発揮される場として参加されることを願っております。
いつも言っていることですが、私は稽古を通じて強い体力を作り上げるだけでなく、強くてものに動じない心、即ち「不動心」を鍛え上げて頂きたいと思っています。これは道場だけでなく社会でも、また、日常生活にも通じます。
次に剣道の海外普及について一言お願い申し上げます。日本で出来上がった剣道は、年々多くの外国の方に取り入れられてきました。剣道をやってきた者としては、大変嬉しく誇らしいことです。同時に海外普及が進む中で、我々は今後何をしなければならないのか、良く考えて、できる限りのことをしていきたいと思っております。今も諸外国の皆様に協力してご活躍中の先生方には心から感謝すると同時に、これまでにも増してのご指導をお願いするところです。
日本の誇るべき文化―剣道―を皆様とご一緒に益々発展させることを心に願って、今年も良い年になるよう頑張りましょう。
最後に、今年はいよいよ我が日本でオリンピック・パラリンピックの行われる年です。一人の国民としてこれを盛り立てるのにどんなことができるのか、良く考えて行動すると同時に、将来の剣道の海外普及のためにも色々考えてゆく所存です。
全日本剣道連盟会長 国際剣道連盟会長
張 富士夫
Fujio CHO