全剣連の
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感染拡大予防ガイドラインのマスクについて(新たな調査結果を受けて)
1.対人稽古にあたってマスク着用を求める趣旨
一般財団法人全日本剣道連盟(以下「全剣連」)は、対人稽古再開に際し、令和2年6月4日付「対人稽古再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」(以下「全剣連ガイドライン」)を制定しました。
その中で全剣連は、今後対人稽古を行う際は、必ずマスクを着用するようお願いしております。
この理由を、以下の通り再度説明申し上げます。
新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染と接触感染が主な感染経路であることから、特に飛沫感染の防止が重要です。政府が、新しい生活様式として、対人距離を取ること、対面での食事を避けること、大声での発声を控える等の注意喚起をしているのは、飛沫感染を防ぐためのものです。
さて、剣道は発声が必ず伴います。発声によって飛沫が飛散し、感染リスクが高まります。実際、剣道の稽古を通じ感染クラスターが起こりました。対人稽古の再開にあたっては、この発声による飛沫の飛散を防ぐことが重要な課題でした。
飛沫飛散を防止するものとしては、マスクが考えられます。また、多くの武道具店がシールド(マウスガード等)を開発されました。全剣連としては、これらが確実に飛沫飛散防止効果を有するかどうか、この業界では大変信頼がおける新日本空調(株)において調査を行いました。
その結果、マスクは、面だけの場合に比べ飛沫飛散を約90%抑制することが判明しました。シールドは、単独での使用は70%の抑制にとどまりました。このため、全剣連は、マスクの使用を必須とし、シールド単独での使用は推奨しません。ただし、マスクとシールドを併用すると飛沫飛散を95%近く抑制できること、シールドは相手からの飛沫飛散防止に効果があることから、併用を推奨します。特に高齢者は、「うつしやすく、感染しやすい」と言われているので、マスクとともにシールドをぜひ着用して頂きたいと考えます。また、小さな飛沫は大気中に滞留しますので、道場の送風・換気にはご注意下さい。
全剣連は、今回の措置を、剣道の稽古による集団感染発生を防ぐための飛沫飛散防止を主たる目的としましたが、一方でマスクの着用による呼吸障害や熱中症に注意をしなければならないことは当然です。このため、全剣連ガイドラインにおいて、熱中症対策として、稽古時間の短縮、こまめな水分補給、体育館・道場の温度管理等をお願いしています。
2.マスクについて
全剣連は、全剣連ガイドラインにおいて、必ずマスク(以下、面の中で着用するマスクを「面マスク」と総称する)を着用すること、また、面マスクは、呼吸障害を起こさないようにするため、通気性のあるものや、吐息が下部と側方に逃げるものが望ましいとして、一例として手拭いを使用したものをあげました。
しかしながら、面マスクの着用による息苦しさ等から、何人かの方から質問、意見が寄せられました。これらの質問等に対し、令和2年6月8日付「ガイドラインに関する補足説明」を行うと同時に、マスクの着用方法や種類について追加の調査を実施しました。その概要は以下の通りです。
【マスクの着用方法】
上記補足説明で指摘しましたが、面マスク着用の際に、マスクと口の間に少し空間を設けると息苦しさが緩和されます(横から見ると立体的になる)。
今回、追加調査の結果、面マスク着用の際、鼻を出しても入れても飛沫飛散抑制効果にあまり差がありませんでした。したがって、息苦しさを緩和するため、面マスク着用の際、鼻を出して使用することが可能です。
面マスクの布を小さくして口の前にぶらさげるようなものであっても直接に口に触れていれば飛沫飛散防止効果がありました。
【面マスクの種類】
今回新たに、手拭い利用のマスク以外に、種々のマスク(紙マスク、ウレタンマスク、ポリエステルマスク、水着素材で作ったマスク、ランニングマスク;ジョギングで用いられるもの)を調査しましたが、どれも手拭いを利用したマスクより良い飛沫飛散防止効果が得られる傾向がありました。
したがって、みなさんは、手拭いを利用したマスクのみならず、個人に合うマスクを面マスクとして使っていただいてよいかと思います。
なお、ここではマスクとは口の上に接するもののことを指します。面の内側に装着するものは面マスクとはよびません。面の内側に装着するものは、口の上に装着するものに比べて飛沫飛散防止性能が下がる傾向がありましたので、ご注意ください。
以上のとおり、みなさんにあっては、自分に合った面マスクを選択し、そして、面マスクと口の間に少し空間を設けたり、鼻を出したり、あるいは口の前にぶら下げるようにしたり(ただし、口に直接触れていることが必要)して息苦しさを少しでも緩和することをお勧めします。加えて、熱中症対策も忘れないでください。
ところで、某メーカー開発中の新素材マスクは、飛沫飛散抑制度が非常に高いとともに、息苦しさを示す数値である圧力損失値が低い(息苦しさが少ない)ようです。また、いくつかの武道具会社が新しい商品の発売を予定しているようです。全剣連としては、こうした新しい製品の開発に期待するとともに、必要に応じ調査を実施し、より安全な剣道の稽古の実現を目指してまいります。