医・科学
暑熱順化
暑熱順化とは?
からだが暑さに慣れることで、すなわち暑さに強いからだを作ることです。そのメカニズムを下図に示します。
熱中症のメカニズムと暑熱順化
下図は熱中症のメカニズムです。暑熱順化は熱中症予防として重要な役割があります。
暑熱順化の仕組み
暑熱順化では、からだが暑さに慣れるための、自律神経系や内分泌系の変化が起こります。発汗や皮膚の血流などの反応が良くなり、汗が「さらさら」になり、体温調整のメカニズムが高まります(下図)。
計画的な暑熱順化の必要性
暑さに順化するには1週間~10日かかります(下図)。これは、自律神経、内分泌系の変化であるため、早めることはできません。その一方で、数日間、暑さから遠ざかると、順化がなくなります。
つまり、環境の変化が大きい時期や休み明けなどの時期には熱中症に注意する必要があります。たとえば以下の時期などは要注意です。
- 湿度・温度の高まる梅雨入りや初夏、梅雨明け
- お盆休み明け
- 新型コロナウイルスによる自粛明け
なお、持久力や筋力などとは異なるため、いわゆる「体力」のある人にも必要なことです。
このため、順化していないまま、暑い時期に稽古を行わないよう、計画的に暑熱順化を行う必要性があります。
暑熱順化の実施例
暑熱環境で稽古をするために、1 週間〜10 日前から自律神経・内分泌系を「目覚めさせる」必要性があります。そのための方法として、以下のことが効果的です。
- 汗をかくように運動をする
- 半身浴やサウナなどで汗をしっかりかく
- 冷房を控えめにする
その他の熱中症対策
熱中症対策としては、暑熱順化に対する計画だけでなく、日ごろから下記の対策も必要となります(下図)。今一度、これらの対策をとっているか点検をしてください。
- 暑熱時の稽古計画
- 空調・換気の管理
- 水分・塩分の補給
- 熱中症・健康管理の教育
- 救急体制の整備
全日本剣道連盟 医・科学委員会
参考資料