公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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居合道七段審査会(鳥取)

開催日:
2015年07月10日(金)
会場名:
鳥取県立武道館
受審者数 合格者数 合格率
28 7 25.0%

合格者氏名一覧

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審査員の寸評(実技)

 梅雨明け間近、大型台風9、10、11号とトリプルで日本列島に接近中の7月10日、居合道七・六段の審査会が鳥取県米子市の鳥取県立武道館で行われた。確認はできていないが、台風の影響でやむなく欠席となった方がいたかもしれない。七段申し込み者30名中2名が欠席、六段66名中3名が欠席であった。

 前日の審査員研修会において、河口俊彦居合道委員長より審査員研修資料に基づき、審査員としての心構え、審査員の遵守すべき事項についての訓示が行われた。また委員長として、合否判定は先入観にとらわれず、審査当日の出来栄えに従って評価すること、不合格とするのが目的ではないので、できる限り良いところを積極的に引き出してやるような姿勢が求められ、審査員一同、気を引き締めて翌日の審査に臨むこととした。

 当日の受審者数は七・六段とも、前年比30%あまりの大幅減であり、武道人口の減少傾向もさりながら、最初から挑戦することをあきらめている人も多いのではないかと思われる。今回、七段合格者は25%、六段合格者はなんと31・7%と近年まれにみる高い合格率であった。これを励みに、次回はしっかり稽古を積み、必ず合格するぞという強い意志を持って、多数の方々に再挑戦していただくよう切望するものである。

 いつもながら、古流はのびのびとした大技を遣う人が多く見受けられた。全剣連居合も、いい意味であまり決まりごとに縛られ過ぎず、古流のように自由に思い切った剣さばきを見せてもらいたいものである。古流で気を付けて欲しいのは、初伝、中伝、奥伝の区別がほとんどなされてない点である。これは、まだまだ中伝、奥伝の稽古量が不足しているためではなかろうか。

 指定技は東日本地区審査と同じ三、六、十が課されたが、ほぼ毎年のように繰り返し課される定番業である。

 三本目[受け流し]は全剣連居合の中でも最も難しい業のひとつであり、これだけ、中央講習会、地区講習会において何度も詳しく説明が繰り返されているにもかかわらず、様々なヴァリエーションの見られる業である。大事なことは抜き上げながら鍔元近くでしっかりと受け流し、それと同時に刀を返して一拍子で袈裟に切り下すところにあるが、低く安定した腰の高さを保ちつつ、正しく敵に正対して切ることである。

 六本目[諸手突き]この業の典型的なミスは、右斜め面への抜き打ちの高さが正確にあごまで切り下げていないこと、抜きつけ時に左手の引き手が効いておらず、右手のこぶしだけで小さい切りになってしまっていること、相手の水月への突きが体ではなく手先だけで突いてしまっていること、前後の回転時における足さばきを九本目としっかり区別せねばならないが、不正確な方が多数みられた。

 十本目[四方切り]は最初の右の敵に対してしっかり振り向き、柄を敵の右手の甲に届くように水平より少し低いくらいまで叩き、左一八〇度後方の敵に対して一重身になった時に両足をハの字に開いてはならない。四方の敵を切るわけだが、機械的に切っていくのではなく、仮想敵をはっきりと意識しながら切っていく目付が大切である。

 全剣連居合は「正しく」「大きく」「解説書の要義に適った」、武道としての正しい理合に則った剣捌き、体捌きが求められるが、いたずらに早く切ろう、力強く切ろうとばかりして、かえって剣尖の冴えを殺してしまっている人が多数見受けられた。すり足による安定した下半身の捌きと、正しい手の内の作用が相まって、切れる美しい居合が生まれてくる。

 今回不合格になった方はこれらの点を参考にして再挑戦し、次回は必ず合格していただき、今回めでたく合格された方は、これに満足せず次の一段高いステップを目指し、さらなる精進を重ねられんことを祈念するものである。

宮﨑 賢太郎
*この記事は、月刊「剣窓」2015年9月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
居合道七段審査会(鳥取)
開催日
2015年07月10日(金)
会場名
鳥取県立武道館
〒683-0853 鳥取県米子市両三柳3192-14
JR米子駅下車 車で15分米子鬼太郎空港 車で15分
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