審査会
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剣道七段審査会(福岡)
- 開催日:
- 2020年08月29日(土)
- 会場名:
- 福岡市民体育館
審査会結果
審査員の寸評(実技)
新型コロナ禍の下、各種行事が中止、もしくは延期となる中、全剣連が今年度はじめて実施する剣道七段、六段審査でありました。受審者全員がマスク等を着用するほか、審査員、役員、係員はすべてシールドとマスクを併用して、物々しくも、粛々と実技審査が執り行われました。
この度は、私が担当しました第3審査会場について、その感想を申し上げます。
合格された方は、風格、構え、攻め、打ち出される打突が、受審段位に相応しい内容であったと思われます。
一方、この度不合格になられた方々は、それぞれ何らかの難点が見受けられました。
主な点を挙げますと、
第一に、足さばきが不十分なことです。攻め合い、攻防の段階ですでに運足が乱れ、構え、体制が崩れる方がいます。そしてその体勢のまま技を出すので、十分な打ちができません。
第二は、打突の強さが不十分な点です。せっかく良い機会に技を出されても、特に小技、すり上げ、返し技が一本になり切れていません。打ちの強さと冴え、手の内の作用について、更なる修錬が必要と感じました。
第三は、受審段位に相応しい風格、構え、打突後の残心が不十分な方が見受けられました。高段者としての風格、立ち居振る舞いを身につけるには、剣道形の稽古を今一度見直して下さい。踏み込み足での技を除き、剣道形の所作、足さばき、腰の備え、打ち切り、残心の身構えなどはそのまま竹刀剣道においても必要とされます。風格の醸成には形稽古に励まれることをお勧めいたします。
以上ですが、なかなか自分で自分の短所に気が付くことは難しいものです。自分の短所を知るには、今一度上位の先生方に指導を仰ぐ、又は稽古仲間からのアドバイスをもらう事が、最も早い解決策かと思います。受け入れた助言等により、何か気付いたときは、一意専心、反復練習に心がけて下さい。
自分の体が自然に対応できるまで精進され、次回の審査では万全の立合いで合格をされます事を祈念申し上げます。
審査員の寸評(剣道形)
令和2年度は剣道界にとっても大変な年となりました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、稽古をすることさえ困難な時期があり、大会・講習会・審査会が中止や延期される状況の中、福岡市で今年度最初の剣道七・六段審査が実施されました。役員・審査員全員がフェイスシールド・マスクを着用し、受審者もシールド・面マスクを着用するなどウイルス感染防止と熱中症対策に万全を期した審査となりました。受審者数は例年の約半数でしたが粛々と実施されました。
剣道形審査を担当させていただきましたので所感を述べます。困難にめげずに稽古をしてこられたのでしょうが、不合格者が出たのは大変残念です。再度しっかり形稽古を積まれ、次回の審査で頑張っていただきたいと思います。合格された方々には心からお祝い申し上げます。
さて、日本剣道形は剣道を志すものとして絶対に欠いてはいけないものです。形なくして剣道はあり得ません。竹刀剣道と同時に車の両輪のごとく修錬することが大切です。その観点から気づいたことを述べておきます。
一、立会前後の作法・所作が不十分
ア 会場に入退場する場合の太刀・小太刀の持ち方
イ 仕太刀、右後方五歩に小太刀を置く場合の作法
二、形の内容で、迫真性・重厚性・緩急強弱の表現が不十分
ア 充実した気迫で一拍子の打突の時機が感じられない
特に日本剣道形の太刀七本には竹刀剣道に活かさねばならない精神面や動作があります。呼吸法・気攻め・乗り返し・間合・打つべき機会・一拍子の打突・鎬の使い方・気合・残心は剣道形を修錬することで身に付けていただきたい。形はその人の技量を顕すと云われ、修錬を十分に積んだ人の剣道は、無理なく、動作が美しく見事である。日本剣道形を軽視することなく、形によって学んだ理合を竹刀剣道に活かすべく真剣に修業すべきでしょう。
合格された方は高段者として、日本剣道形を形骸化させないために、正しく継承し次代に伝えていく責任があります。一層の研鑽とご精進をお願いして寸評といたします。
行事概要
- 行事名
- 剣道七段審査会(福岡)
- 開催日
- 2020年08月29日(土)
- 会場名
-
福岡市民体育館
〒812-0045 福岡県福岡市博多区東公園8-2
地下鉄「千代県庁口」駅下車、徒歩1分/西鉄バス「千代町」バス停下車、徒歩4分/JR九州「吉塚」駅下車、徒歩10分