公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

全剣連の
お知らせ

更新

感染拡大の状況下、剣道の稽古はどうするべきか?

全日本剣道連盟 アンチ・ドーピング委員長
大阪大学免疫学フロンティア研究センター・招へい教授
宮坂昌之

剣道関係者の皆様

 東京、大阪で急激な感染爆発が起こりそうな状態のもと、剣道の稽古はどうすべきかという議論があります。これに関して私の意見を申し上げます。

 添付の図はオーストラリア政府が作ったものを私が改編したものです。昨日のテレビ番組で使いました。

 それを見ていただくとわかりますが、通常、新型コロナウイルスは1人が感染すると2.5人に感染をうつすので、5日目には感染者が2.5人となります。この2.5人が動き回ると、30日後には感染者はネズミ算式に増えて406人になります。

 ところが、人との距離を1.5メートル以上空けて、さらに人と接する機会を半分減らすと、5日目の感染者は1.25人、30日目で15人と大きく減ります。

 さらに1.5メートル以上の距離を保ちながら人と接する機会を4分の1に減らすと、5日目の感染者は0.625人、30日目の感染者は2.5人となります。

 これは彼らの計算ですが、私は非常にわかりやすく、十分に信頼できるものだと考えています。

 さて、剣道ですが、竹刀を持っての相手との距離は2メートル近くです。しかし、大きな気合を出して相手を打とうとすると、多量の飛沫を吐き出し、相手に近接します。もし片方が感染者であれば、相手が感染する確率が大です。

 そのように考えると、今の流行がひと収まりするまでは、対人稽古は難しいかもしれません(特に高齢者の方は)。

 一方、個人レベルでのトレーニング、稽古は、お互いの距離を1.5メートル以上保ち、三密(密閉、密集、密接)を避けることが出来れば、可能なはずです。

 今後の読みは難しいですが、私は中国のように日本でも近いうちに感染者が減ってくると思います(ただし、1.5メートルの距離を保ちながら三密を避ければ、ですが)。そうなったら、いくらでも剣道の稽古は可能になります。

 それまでは慎重に考えることが大事だと思います。「打って反省、打たれて感謝」のこの素晴らしい文化を継承していくために、ここは皆さん、慎重に考えるべき時だと思います。

*この記事は、宮坂昌之先生のFacebookに私見として投稿されたものをご本人にご承諾をいただき、転載させていただいたものです。

お知らせをシェア