全剣連の
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竹刀破損事故の根絶に向けての取り組み
昨年末に発生した「竹刀破損による眼外傷」の重大事故の報告を受け、全剣連は公式ホームページに「竹刀点検の徹底について(お願い)」を掲載するとともに関連する専門委員会ならびに全日本武道具協同組合(以下、全武協)などと連携を図り、原因究明と再発防止策の検討を行いました。
破損竹刀使用者や同じ場所で稽古をしていた方への聞き取りおよび、破損した竹刀を調査した範囲で考えられる要因(以下に記載)を踏まえ、全剣連および全武協では、最大の原因は破損竹刀の点検不備(不足)によるものであると判断いたしました。
剣道は、竹刀と剣道具の組み合わせによって「安全」に打ち込み稽古ができるように考案され、今日に至っております。しかし、竹刀は天然の竹を材料として作られたもので、極端に言えば新品であっても「竹は割れる」ものであることを再認識しなければなりません。剣道の安全性に対する配慮の欠落により、このような重大事故が発生したことは極めて遺憾であります。
全剣連は、全武協に剣道試合・審判規則(竹刀の基準)の遵守をお願いするとともに連携を図り、竹刀の点検や手入れ、付属品のはずし方や取り付け方などについて、わかりやすく説明できるように両者で協議してまいります。また、様々な角度から剣道の安全性へのアプローチを継続し、竹刀破損事故の根絶に向けて取り組んでまいります。
剣道人の皆様へは、稽古前、稽古中、稽古後の竹刀点検と手入れの徹底にご理解とご協力をいただきますよう強く要望いたします。
以上
破損した竹刀の調査結果から考えられる事故要因
- どの時点で破損したかは断定できないものの、目に刺さった左側(表鎬)のちくとうのピース(以下ピース)のみでなく、他の3ピースとも内側に横割れが見られ、表側にも破損やささくれが数カ所確認できた。
- 破損した竹刀は購入後3年以上が経過しているが、手入れ時に竹刀油等の塗布は行っておらず、乾燥し易い季節と重なり割れやすい状態だったと言える。
- 中結の位置は、剣先から竹刀全長の4分の1の位置に固定することを全剣連では奨励している。破損した竹刀は適切な位置よりも前方(剣先側)に固定されており、中結のすぐ後側が破損して目に刺さっている。
- 所有者の報告では、手入れの際にささくれを発見したため、ちくとうの上下(刀でいう棟と刃部)を逆にしている。
- 試合・審判規則に則って、計測した結果、長さ・重さ・先端部最小直径(対辺)はクリアしていたが、ちくとう最小直径(対角)については、0.3mm不足していた。また、先端から物打ちに向かって太くなっていることも確認できており、竹刀自体に悪質な改造行為は見られなかった。
要因4.の行為によって重大事故に発展した事例は本件を含め2件報告されています。幾度となく同方向で使用した竹刀は打突部付近に負荷が集中し、反りや歪みが生じている可能性が高く、元に戻したように見えても一定の強度が保たれない可能性があります。安易に竹刀の上下を逆にしたり、ちくとうのピースを組み替えたりすることは危険性が高まります。
以上