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2021年度 剣道における熱中症への取り組み(最終報告)
2021年4月より開始された「剣道における熱中症報告 報告フォーム」によるオンライン報告システムが9月末日にて終了しましたため、概要と考察をご報告いたします。
詳細結果は、全剣連「剣道における熱中症 報告フォーム(回答) : 集計結果 9月30日」をご覧ください。
報告件数 3件
重症度内訳(注:重症度の申告は会員の判断による)
概 要
- 昨年度の22件に比べ、今年度の報告は3件と報告件数が激減した。
- 重症度ではI度が1件、Ⅱ度が2件であったが、I度の例についても救急搬送の上入院を要した。
- いずれの事例においても換気は行われていたもののエアコンは使用されていなかった。
- 年代は中学生1件、高校生2件であった。
- 3件中2件でマスクおよびフェイスシールドを着用していた。1件は不明であった。
- 1件は鼻炎があり、マスクによる呼吸苦も伴っていた様子であった。
考 察
- 昨年に比し熱中症報告が激減した。これは昨年よりも真夏日が少なかったこと、コロナ禍による活動自粛、マスク着用に対する慣れ、さらには熱中症に対する全剣連の啓発活動などがあると思われる。
- 全例が中学生・高校生の低段位者であり、これは昨年と同様の傾向であった。
- 重症度III度の症例は皆無であり、3例すべてI度ないしII度と熱中症の早期に対応がされていた。
- 全例でエアコンが使用されておらず、これも昨年と同様の傾向であった。特に暑熱順化が十分でない時期においては、気温にかかわらず稽古メニューの見直し、可能であればエアコンを使用することが望ましいと考えられる。
- 3件中2件ではこまめな休憩や飲水を励行しており、水分摂取だけでは熱中症を十分予防しきれないことにつき、再度注意喚起が必要と考えられる。
- 特に指導者や道場管理者は熱中症の知識を持つことが必要不可欠と思われる。具体的には、室温などの環境に配慮し、段階的に稽古量を増加させる計画・立案を行い、また体調不良者の管理を行う必要がある。
- 今年度は報告件数が少ないものの、コロナ禍収束に伴い稽古量が増える可能性が高く、来年度以降も同様の報告システムの周知・情報収集を続ける必要があると考える。
提 言
- 暑熱順化と室温管理が熱中症防止には必要である。
- 道場・体育館に暑さ指数(WGBT)計を設置する必要がある。
- 熱中症の予防は扇風機と水分摂取だけではできないという意識が必要である。
- 今後とも熱中症に対する啓発活動を継続することが重要である。
全日本剣道連盟 医・科学委員会
イラスト(フリー)http://pictogram2.com/