公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

花粉症とアンチ・ドーピング(コラム33)

 毎年この季節になると「花粉症」に悩まされている人が多いと思います。鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみで、日常生活、夜の睡眠、剣道の練習などで支障が出ている方も少なくないのではないでしょうか。花粉症の治療薬は薬局やドラッグストアで購入するか、病院で処方してもらうことができます。その中にはドーピングで禁止されている薬と禁止されていない薬があります。特にドーピング検査を受ける可能性のある選手やその保護者や指導者は、以下のことに気をつけながら薬を使ってください。

 ドーピング検査には競技会で実施される競技会検査と、競技会以外で検査員が突然選手のところへやって来て行われる競技会外検査(いわゆる抜き打ち検査)があります。その両方で禁止されていて常に使用してはいけない薬として、強い咳や喘息の人に処方されるベータ2作用薬があり、内服、吸入(一部の吸入ベータ2作用薬は除く)、外用貼付のいずれの使用方法も禁止されています。

 また、競技会検査のみ禁止されている薬があります。試合の約1週間前から使用するのに気をつけなくてはなりません。抗アレルギー剤や総合感冒(かぜ薬)や漢方薬などに含まれているエフェドリン類(麻黄も含む)などの成分は興奮薬であり、使用禁止されています。アレルギーの症状が強い時に使われるステロイド(糖質コルチコイド)の内服および筋肉注射は禁止されていますが、点鼻薬、点眼薬、点耳薬、軟膏は使用を許可されています。

 花粉症の薬には、ドーピング禁止薬ではない安全に使用できるものが沢山あります。ドーピングを心配して薬を飲まないことで競技のパフォーマンスを落とすことがないように、早めに専門の医師や薬剤師に相談してください。(公財)日本スポーツ協会の「アンチ・ドーピング使用可能薬リスト」に、使用できる処方薬や市販薬が記載されていますので、参考にされるとよいでしょう。

アンチ・ドーピング委員会
委員 門野由紀子

* この記事は、月刊「剣窓」2021年5月号の記事を再掲載しています。