公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

アンチ・
ドーピング

サプリメントや機能性表示食品の摂取について(コラム44)

 最近、サプリメントが原因と思われるドーピング違反が何度かあり、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)はホームページ上で警鐘を鳴らしています。以下にその抜粋を示します。これは剣道をする方々にも是非知っておいていただきたいことです。

 「サプリメントは、医薬品とは異なり、法律上では『食品』に分類されます。『食品』には、商品の成分表に全ての原材料を記載する義務がありません。つまり、ラベルやパッケージに表示されていない物質が、その製品に含まれている可能性があります。もし、表示されていない物質が原因で、アンチ・ドーピングのルール違反になった場合でも、アスリートはその責任を自身でとらなくてはなりません。表示されていない、確認できない物質が入っている可能性があるというリスクを十分に理解したうえで、本当にそのサプリメントが自身に必要なのかを、アスリートは判断することが求められます。」

 このような問題に加えて、最近、〇麹のような機能性表示食品による健康被害が報道されています。機能性表示食品とは、安全性や機能性などの情報を販売前に消費者庁に届け出て、機能性を表示した食品です。別に臨床試験をあらかじめ行ったわけではなく、安全性や機能性に関わる関連文献を添付して消費者庁に届け出て、それを基に認可されるという制度です。これは「企業が悪いことはしないはず」という性善説に基づいているのですが、その一方で、安全性や機能性に関しては常に十分な保証があるとは限らないということになります。

 機能性表示食品もサプリメントと同様に食品の一種です。医薬品とは異なり、そこに含まれているすべての成分が表示されてはいません。機能性表示食品でも禁止物質が知らないうちに含まれていて、それを摂取することによって「うっかりドーピング」になる可能性があります。あるいは知られていない危険物質が含まれている可能性もあります。このようなリスクを理解したうえで、本当にその物質が自身に必要なのかを、アスリートは自身で判断することが求められます。サプリメントや機能性表示食品の摂取を考える際には以上のことを参考にしてください。

アンチ・ドーピング委員会
委員長 宮坂昌之

* この記事は、月刊「剣窓」2024年5月号の記事を再掲載しています。