アンチ・
ドーピング
世界剣道選手権大会ドーピング 陰性に向けて(コラム45)
2024年7月4~7日、イタリア(ミラノ)において第19回世界剣道選手権大会が開催されました。選手たちは、各国の代表として選ばれ沢山の期待を背負って大会に出場しています。日本の選手たちは、長年の厳しい稽古をして得た勝利を、ドーピング違反で無駄(成績の剥奪、一定期間資格停止の処分を受ける)にしてしまわないように、大会の何年も前からドーピング防止の講習を受け、日頃から自分たちの口にする食べ物、飲み物、サプリメント、薬などに気をつけながら生活するように指導されています。
試合で勝つことだけでなく、ドーピング検査で陽性を出さないことにより、「剣道」が公明正大な競技であることを証明することも、トップレベルの選手たちの使命なのです。
選手たちは普段から、使用した薬やサプリメントや注射薬を記録し、ドーピング検査を受けたときに申告できるように準備をしておかなくてはなりません。また、治療のためにドーピングで禁止されている薬をどうしても使用しなくてはならない場合には、大会30日前までに、使用している薬の代替え薬がないことを主治医に記載してもらってTUE(治療使用特例)申請し、使用可能であるか複数人の医師によって厳重に審査されます。
世界大会開催地での直前合宿では、合宿所や練習場で競技会外検査(抜き打ち検査)をされることがあります。また、大会当日には、試合終了後、優勝、入賞した選手やチームから選抜された人は、試合直後にシャペロン(ドーピング検査通達員)から検査対象者となったことを通告されて、尿検査や血液検査のドーピング検査(競技会検査)を受けなくてはならず、検査終了後までシャペロンに行動を監視されることになります。
尿検査で尿量が規定量より足りない場合には、早く帰ってチームや家族らと喜び合いたい時でも、検査に時間がかかって帰りが非常に遅くなることもあります。それでも、選手たちは「ドーピング検査の対象になることは名誉である」と話してくれます。
今回も、世界大会選手からドーピング陽性者が出ないことを期待したいです。
アンチ・ドーピング委員会
委員 門野由紀子
* この記事は、月刊「剣窓」2024年8月号の記事を再掲載しています。