アンチ・
ドーピング
健康食品のサプリメントについて(コラム46)
紅麹サプリメントが原因の事故により健康食品への注目が高まり、健康食品の分類なども広く認識されるようになってきました。
健康食品は、一般の食経験から安全が認められている事が前提となっている製品です。ただし毎日長い間飲み続けるなど、普通の食品とは異なった摂取形態・頻度で用いられるため、一般の食品に較べ、より安全性に注意を払った品質管理が必要となります。
麹の副作用の原因が、製造過程での杜撰な管理が原因と判明し、防げたはずの事故だった事が明らかになってきましたが、菌の変異、雑菌の混入などの可能性を考えると、サプリメントとして使用するためには、遺伝子レベルの高度な製造管理などが必要な製品と推測されます。
また、作用が強い医薬品成分が含まれている製品であることも問題です。紅麹には米国では医療用として使われているロバスタチンが含まれており、効果が顕著で喜ばれますが、過分に摂りすぎたり 、自分の健康状態に合わなかったり、ほかの薬と相互作用が生じたりする危険性も高く、本来お医者さんの指導のもとで、注意して服用する必要があるように思われます。
他にも、海外から購入する違法健康食品では、食欲抑制作用があるシブトラミン、フェンフルラミン、血糖低下剤のグリベンクラミド、副腎皮質ホルモン剤のデキサメタゾンなど多くの強力な医薬品成分が見つかっており、プロテインに筋肉増強剤テストステロンが含まれていた事象もよく報告されていますが、これらは多くの健康被害も報告されているようです。
また、医薬品ではありませんが、エストロゲン(女性ホルモン)活性を有する植物成分を含む美容目的とした健康食品の副作用も注目され、注意喚起がなされているようです。
健康食品は、栄養補給や健康の維持など穏やかな効果を期待して、永く使用するものです。多くの製品が売られていますが、よく選んで品質の確かな安全な製品を使用するよう心がけてください。
アンチ・ドーピング委員会
委員 亀尾一弥
* この記事は、月刊「剣窓」2024年11月号の記事を再掲載しています。