図書
第19回世界剣道選手権大会へ向けて
第1回 日の丸と共に
日本選手団 団長兼総責任者
濱﨑 滿
この度、7月にイタリアのミラノで開催されます「第19回世界剣道選手権大会」(19WKC)の日本選手団・団長兼総責任者を仰せつかり、大変光栄に思うと共に、身の引き締まる思いであります。
思い起こせば令和4年の夏から男女30名ずつ、各選手日の丸を背負う覚悟での「強化訓練」が始まりました。
総監督、男女監督・コーチの厳しい指導の下、代表候補選手としての礼法・所作事等、剣道で大事なことからの指導が出発点でした。我々指導陣は常に心ブレることなく「強く正しく美しい」日本の剣道を世界の模範となれる選手を大会に送り出すことを心掛け、指導に携わってまいりました。
昨年の暮れには「男子強化訓練・米国遠征」を計画し、米国剣道連盟の梶谷道夫会長始め、先生方・選手の皆さんには快くお引き受け頂き、大変嬉しく思いました。その他、ブラジル・カナダ・メキシコ・ハワイチームも参加し、充実した有意義な米国遠征でした。
この遠征訓練で日本チームが学んだことも多々ありました。そのひとつに、各国が日本チームと対戦する時の気持ちの持ち方が一段と違うということです。19WKCにおいても「日本に勝つ、一人でも勝つ、一本でも取る」という気持ちで試合に臨んで来ることは必至です。我々は、この教訓を真摯に受け止め、強靭な体力と不屈の精神を、今後の訓練で更に充実させあらゆる困難を打破し、目的達成のため努力精進してまいりたいと思います。
4度の選手選考委員会・総見を経て、選手が内定いたしました。男女選ばれた選手は、日の丸の為、自分自身の為、また今まで共に汗を流した剣友の為に、それぞれ環境の中でお世話になった方々への感謝の気持ちを忘れず、如何に多くの人々が期待しているかを認識し、戦って頂きたいと思います。そして栄光を求め、世界の晴れ舞台で最高の景色を見て頂きたいと願っています。
また、選ばれなかった選手の涙は、人を強くし、決して無駄ではありません。これからの剣道人生に活かして頂きたいと思います。
今後の「強化合宿」については、今まで以上の厳しい訓練になることは言うまでもありません。激しい稽古や苦しい稽古に打ち勝ち、その先に見えるものは自分自身に勝ち、相手にも勝てる自信となって表れてくることと思います。そして指導陣が描いた、世界に誇れるチームの構築に努めてまいりたいと思います。
師の教え「日本剣道に守りはない」―この言葉は世界で戦い抜く代表選手の道標として、また私自身もこの教えを胸に、これから大会までの強化合宿に励み、団長としてチームがより良い環境の中で力が十分に発揮できるように尽力してまいりたいと思います。選ばれた男女20名は、日本代表剣士としての誇りと自身の名誉にかけて、イタリアの地で、世界各国の剣道愛好者に感動を与え、立派な試合を展開してくれることを信じています。
日本選手団、日の丸と共に輪を以って事に臨み、輪を以って戦って参ります。
*第19回世界剣道選手権大会へ向けては、月刊「剣窓」2024年3月号に掲載したものを再掲載しています。
*大会の詳細は、第19回世界剣道選手権大会ページよりご覧ください。