図 書
現代剣道百家箴
剣道で得たもの
本田弘敏(一橋剣友会顧問)
学生時代、10年余剣道に精進した。得たものは何か。精神面では曰く言い難しで、他人さまに申し上げる程のこともない。但し肉体面では、第一に姿勢がよくなったこと、第二に健康に、なったこと。
小学生時代、私は病弱であり、且つ前屈気味であった。偶々近所に順ちゃんと言う10才ばかり年長の前屈の若者がいて、時折その姿がわが家の話題になっていた。当時五高在学中の長兄が大変心配して中学に入ったら是非剣道を懸命にやれ、必ず姿勢もよくなるし健康にもなると勧めて呉れた。兄も元来虚弱であったが、剣道のお蔭で丈夫になり五高の剣道選手をしていた。
あれから60年、当年74才の私は、他人さまから姿勢をほめられ健康を誇る身となっている。そしてこの夏は81才の兄と富士登山を実行するつもりである。
*現代剣道百家箴は、1972(昭和47)年、全剣連20周年記念事業の一つとして企画された刊行物です。詳しくは「現代剣道百家箴の再掲載にあたり」をご覧ください。