図 書
現代剣道百家箴
青少年よ真の剣道マンたれ
吉武 六郎(剣道範士八段)
最近青少年の剣道が、年を追うて盛んになりつつあることは、誠に嬉しい限りであるが、剣道の目的を真に理解し、それに即した修業をしている者がどれだけいるであろうか。
現在勝負に勝つことのみに走る傾向の多いことは否めない事実である。こういう傾向の原因は那辺にあるだろうか。敗戦の為の世相の変遷、教育のあり方、剣道指導者の不足、等挙げられるであろうが、全く嘆かわしい次第である。
今の状態では日本の将来はどうなるだろうかと案ぜられる。外国に行った人曰く「マナーの点では、日本人は、却って外国人に学ばなければならない」と。
教えた日本が、却って教えられるようになったということは、大いに考えなおさなければならないことである。即ち、剣道が、大いに反省期に来ているということである。
国家百年の計は、青少年にあり、日本の隆昌の根源は、剣道精神にありと確信している。青少年よ!真の剣道を体得し、立派な人間となり、国家社会の為大いに貢献せられるよう熱望する次第である。
*現代剣道百家箴は、1972(昭和47)年、全剣連20周年記念事業の一つとして企画された刊行物です。詳しくは「現代剣道百家箴の再掲載にあたり」をご覧ください。