女子委員会
昇段審査受審に向けた修錬の視点
全剣連 女子委員会
現在、高段位を受審する女性は年々増加しています。それと共に全日本剣道連盟は、多くの女性剣士に夢と希望を与える事が大切だと考えています。
審査規則には基準が記され、さらに審査実施要領では「理合」「風格・品位」と着眼点が示されています。しかし、女性は立合いの中で、男性の打突の強さやスピードに圧倒されて、その技能が見劣りしてしまう事が少なくありません。
そこで、それぞれの段位に応じた技能を身に付けておくのはもちろんですが、以下の内容を意識しながら稽古に励み、体力的な要素を補ったり、克服したりする視点の一つとして参考にしてみてください。尚、これらは、称号・段位委員長にご相談の上、作成しました。しかし、言葉で表現するのには限界があり、暗黙知として認識されてきた感覚的なものです。
「百錬自得」・・・繰り返しの中で、その意図するところを探って頂ければ幸いです。
<審査にあたって身に付けておきたい技能の視点>
1 気構え <気>
- 正面から立合い、相手から逃げずに勝負する胆力
- 仕掛け技、応じ技の双方において「攻めの気迫」の充実
2 打突 <剣>
- 打突の強度より、機会を捉えた「冴えのある打突」「澄んだ音」
3 姿勢及び体さばき <体>
- 体幹が安定し、無理のない自然体
- 力対力ではなく、中心軸を崩さず「しなやかな足さばき」・「無駄のない体さばき」
4 攻防の様相 <攻防の技の錬度>
- 相手の心と動きを読み、柔軟に対応していく攻防
- 待つ剣道ではなく、先をかけ「攻め崩して」「引き出して」の攻防
- 中心軸を崩さない「刃筋や鎬」を使った攻防
最後に、段位が上がるごとに姿勢が良く、また僅少なりとも有効打突がほしいところです。「筋肉やスピードの衰えは、相手を動かして打つ」。「澄んだ音は、綺麗な一本」。「起こり頭の技は、(たとえ打ちが軽くとも)心に響く、見事な一本」。
これらを参考に稽古に励んでください。
女性剣士の未来に明るい兆しが来ることを願っています。
*この昇段審査受審に向けた修錬の視点は、月刊「剣窓」2021年3月号に掲載したものを再掲載しています。