皆様、明けましておめでとうございます。
昨年を振り返りますと、北朝鮮の核開発やミサイル実験が国際的に問題となり、米朝会談等が行われましたが、総じてそれ以上に大きくなる事もなく過ぎました。それに伴い我が国の国内政治、経済、社会も安定的に推移した1年ではなかったかと思います。申すまでもなく、来年は東京オリンピック・パラリンピックの年であります。国内の諸情勢がこのまま平和な状態で推移する事を強く願うと共に、日常でも我々日本人一人一人が、外国のお客様を平和で明るい日本にお迎え出来るよう、周辺の事から努力する1年になると思います。
さてこのような中で、私ども全日本剣道連盟は、昨年も多くの行事を計画し実施して参りました。色々な大会で活躍された選手の皆様を始め、諸行事を支えて下さった皆様に心より御礼申し上げます。中でも昨年は韓国仁川市にて「第17回世界剣道選手権大会」が行われました。ご存知のように世界大会は3年に1度開催されるもので、今回は世界56カ国・地域の方々が参加され、大変充実した素晴らしい大会でした。参加国、参加人数の増加と共に内容も年々充実してきており、世界中で剣道愛好国も増え、参加人数も益々増えている事を実感致しました。同時に世界各国へ出掛け、指導をしてくださっている日本の先生方に対し、日本の剣道を広め深めてこられた、そのご努力に厚く御礼を申し上げたいと思います。また遅くなりましたが今大会の諸準備から大会運営に至るまでの大変なご尽力に対し、韓国の皆様と大韓剣道会へ、心より御礼申し上げます。
海外諸国の剣道発展の一方、我が国でも剣道の裾野を広げ内容をさらに深めるため、普及・教育・指導などの活動を多くの皆様に続けていただいております。女性の剣道界が益々発展してきている事は、大変に喜ばしい事です。今後共、活躍を大いに期待しております。昨年は女性の代表的剣士数名と会合を行い、色々とご意見を聞かせていただきました。全日本剣道連盟として、これら貴重な意見を、今後様々な場で活かす事を考えて参ります。
最後に、今年強く願っている事は、一人でも多くの若者が剣道に親しんで、参加してくれる事です。自分の経験から言っても、若い頃に剣道を始めた事で、随分精神的にも成長できたと思っています。剣道は厳しい稽古を通じて、体と共に心の成長を促します。それは「勇気」であったり「決断」であったりします。特に申し上げたいのは「不動心」、即ちどんな時でも心を動かさない冷静さを保つ訓練であります。これからの日本を背負って立つ若い方々に、是非剣道をやっていただきたい、心身を鍛えていただきたい、これが私の願いです。
そのためには、現在もご活躍中の先生方に、これまでに増してのご指導をお願い申し上げます。私自身65年前に鍛えて下さった二人の先生は、今でもお顔が目に浮かび、声が聞こえるような気がします。やはり剣道の稽古は特別なものだと思いますが如何でしょうか。
今年も皆様にとりまして素晴らしい1年でありますよう、心から願っております。
全日本剣道連盟会長 国際剣道連盟会長
張 富士夫
Fujio CHO