皆様、新年明けましておめでとうございます。
全日本剣道連盟は昨年9月16日「公益財団法人」として新たに歩み始めました。これも偏に全国の剣道・居合道・杖道愛好家の皆様のご支援の賜物と御礼申し上げます。
本来であれば、ここで新年への抱負を述べるところですが「新型コロナウイルス感染症」により、日本社会のみならず、世界規模で艱難辛苦の年となった昨年を、まずは振り返らないわけにはいきません。罹患され亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、ご闘病中の方にお見舞い申し上げ、1日も早い回復を祈念いたします。
さて、一昨年末、武漢に端を発した新型コロナの世界への影響は、まさに燎原の火の如き広がりを見せ、3月11日には世界保健機関(WHO)もパンデミックの認識を示し、人的・経済的打撃は今なお計り知れないものがあります。
日本では4~5月にかけて感染第一波に襲われ、安倍晋三前総理は、当初4月7日から5月6日まで、7都府県へ「緊急事態宣言」を発出し、国民へ不要不急の外出自粛等の協力を要請しました。その後、4月16日には対象が全国へ拡大され、宣言の解除は、5月14日・21日と段階的に地域を広げつつ、同25日に最後の首都圏1都3県と北海道が対象となりました。全国での解除には、およそ1カ月半かかったことになります。
剣道界への影響も、これらの経過と共に拡大し、4月からの各種大会・審査会・講習会は軒並み延期・中止の憂き目を見て、全国の愛好家の皆様には、4月5日付けをもって「対人稽古自粛のお願い」を要請することとなりました。
全剣連としても、2月14日の「専務理事・理事長会議」の席上で、新型コロナの基本的情報の共有を行ったのを端緒とし、各組織・団体間での認識を統一すべく『剣窓』・HPを通じて随時関連情報を発信・アップデートしてきました。
この間に具体的な対応策として、「新しい生活様式」に則した各種ガイドラインの制作に着手、6月4日付けで「対人稽古再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」を公表、同10日付けで対人稽古自粛を解除しました。
そして引き続き「審査会実施にあたっての感染拡大ガイドライン」(6月22日付)、「全剣連強化活動ガイドライン」(7月14日付)、「主催大会実施にあたっての感染拡大予防ガイドライン」(8月27日付)を制定し、それぞれのガイドラインに則って、各事業を進めることといたしました。
審査会は、徹底した感染対策の上、8月に和歌山で実施した「杖道八(代替)・七・六段審査」を皮切りに、剣道・居合道も、それぞれ8月から10月にかけて夏季審査(福岡)・春季の代替審査(京都・兵庫・東京)および11月の秋季審査(愛知・東京)を実施、称号審査についても教士筆記試験は論文審査に切り替え、7月・11月に行いました。
強化は、本年5月にパリで予定されていた「第18回世界剣道選手権大会」(18WKC)に向け、男女合同の強化合宿を7月に奈良で実施しましたが、世界的な感染状況に鑑み、18WKCの延期が正式に9月3日の国際剣道連盟臨時書面理事会で決定したことを受け、現在休止しています。
主催大会は、本年3月14日に長野で「全日本剣道選手権大会」と「全日本女子剣道選手権大会」を同時開催します。昨年末から全国各地で予選を実施しており、代表選手は決定次第、全剣連HPに掲載しています。
さて、令和3年度もコロナが終息するとは思われません。とはいえ、剣道の発展のためには前進を続ける必要があります。すなわち、全剣連は「Withコロナ、Afterコロナ」においても、様々に模索しつつ事業を続けてまいる所存です。各事業については、現在調整中ではありますが、昨年の実績等を踏まえ、主催大会・審査会は、基本的に実施していく方針です。講習会は、大人数の宿泊・飲食を伴うこともあり、開催にはより一層慎重な対応をせざるを得ず、現在種々検討しているところです。今月(令和3年1月)中には、今年度の計画をお示しできると思いますので、お待ちいただければ幸いです。
また、公益財団としてのメリットを活かした新しい施策を実施すべく研究を進めていますので、全国の斯道愛好家の皆様には、重ねて今後のご理解とご支援を、心よりお願い申し上げます。
全日本剣道連盟会長 国際剣道連盟会長
張 富士夫
Fujio CHO