新年明けましておめでとうございます。今年は、皆様お揃いで平穏で健やかな新年を迎えられたことと拝察いたします。
昨年の年明けの令和6年の元旦は、石川県能登地方を震源とした能登半島地震が発生しました。新年早々、発生した事への驚きとともに阪神淡路大震災(平成7年1月17日発生)、東日本大震災(平成23年3月11日発生)の記憶が甦り、災害への怖さを再び思い知らされました。多くの方から寄せられた義援金は、甚大な損害を被った石川・富山両県の剣道連盟にお渡しいたしました。詳細については、本誌7月号に記載しました。また、気候変動による猛暑・局所的集中豪雨で生活や剣道の活動も悩み煩わされました。新型コロナウイルス感染症は、完全終息の気配もありませんでしたが、私たちは感染症と対峙する術を学ぶことができ、感染防止を図ることから、マスクまたはシールドの装着を奨励しつつ、主催・共催・主管大会、研修会、講習会、昇段審査会、委託事業等の運営を行い、剣道・居合道・杖道の3道とも予定した行事を大過なく進め終えることができました。しかも大会は、有観客で実施し、多くの観戦者に来場していただきました。
特に5月2日から5日まで開催した剣道界の伝統的な最大の行事であります第120回記念・全日本剣道演武大会は、剣道:2525名、居合道:718名、杖道:178名の演武者を迎え、実施する事が出来ました。新型コロナウイルス感染症が拡大した令和2・3年は、開催中止の止むなきに至りましたが、3道の演武者の深淵なる技能と迫力のある演武を拝見いたしました。
7月4日から7日まで第19回世界剣道選手権大会が、イタリア・ミラノ市で盛大に開催されました。男子団体戦:男子60カ国・地域、女子45カ国、個人戦は:男子61カ国242名、女子56カ国203名の参加でした。この大会は、1970年(昭和45年)に日本武道館を会場に第1回世界剣道選手権大会が開催されてから第19回大会まで54年の歴史を刻んできた大会であります。
代表選手は、日本からミラノまでの二十数時間に及ぶ道程であったにもかかわらず日本剣道の真価を発揮し、団体(男女)と個人(男女)の4種別とも優勝いたしました。個人戦は、男女とも準決勝(ベスト4)を占め30年ぶりの完全優勝で大きな快挙を成し遂げました。選手団々長、総監督、男女チーム監督さらにコーチの皆さんのご指導とご苦労に深謝いたしています。試合結果の詳細は、本誌8月号に掲載されています。なお、次回の第20回世界剣道選手権大会は、令和9年5月27日から30日までの日程で東京で開催することが国際剣道連盟の総会で決まりました。万全を期して大会を迎える準備をします。また、開催に向けての詳細については、後日、お知らせいたします。
第72回全日本剣道選手権大会と第63回全日本女子剣道選手権大会を武道の殿堂である日本武道館で11月3日に開催をいたしました。日本武道館での男女同時開催は初めてであります。三笠宮瑶子女王殿下のお成りを仰ぎ、日本武道館の観覧席が熱気で満たされ盛大な大会に終始いたしました。
令和7年も昨年と同様、人口減少・少子高齢化・都市への人口集中による地方衰退、また、気象変動による温暖化問題、さらに紛争・内戦・侵攻など、混沌とした国内外の情勢が続く気配ですが、新型コロナウイルス感染防止を図り、ガバナンス・コンプライアンスを遵守し、剣道の理念である「剣道は、剣の理法の修錬による人間形成の道である」を具現すべく全剣連事業ならびに行事を推進する所存であります。ご支援とご協力をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。
公益財団法人全日本剣道連盟 会長
網代 忠宏
Tadahiro AJIRO