審査会の事前研修会では、稲川泰弘・真砂 威両副会長から厳正な審査の訓示と、中谷行道専務理事から公益財団法人への移行経過の話があった。続いて草間純市居合道委員長より指定技の発表があり、八月の京都審査会と同じ技であった。
七段は、一本目「前」・三本目「受け流し」・五本目「袈裟切り」・八本目「顔面当て」・十本目「四方切り」、十一本目「総切り」。
六段は、一本目「前」・四本目「柄当て」・六本目「諸手突き」・九本目「添え手突き」・十本目「四方切り」・十一本目「総切り」
高段者にはそれなりの剣風とか品格とかが備わっていなければ、指導者として後進の指導はできません。審査に臨むには服装や言動も日頃から心がけたいものです。新型コロナで十分な稽古もできず、大会や講習も中止されこともあり、紋付の着装や下げ緒さばきが不十分でした。着装の乱れは心の乱れ、心の乱れは技の乱れになります。姿勢は大切で、気迫・精彩に欠けます。
一本目は基本中の基本ですが、高齢者は特に古流と混同し、振りかぶりの切っ先が下がり、切り下ろしも深くなっていました。三本目は正確に鎬で受け流しができず、袈裟切りも刃筋が通らず、左こぶしは臍前で止めず流れています。立ち技でも十本目は難度高い技で、視線が決まらないまま、四方に切り、体さばき・剣さばきができていませんでした。十一本目は丹田に力を入れ、敵の右腰腹部から左腰腹部が水平に切れず、合格の判定基準になりました。日頃から刀が握れなくてもボールペンひとつで、抜きつけからの切り下ろし、足さばきからの体さばき、残心の間の稽古はできます。納刀の稽古は時間をかけて、手の内を柔らかく使うことを心掛け、さらなる研鑽を続けてください。
木村 幸比彦
*この記事は、月刊「剣窓」2021年1月号の記事を再掲載しています。