審査会
更新
剣道八段審査会(東京)1日目
- 開催日:
- 2020年11月26日(木)
- 会場名:
- 日本武道館
審査会結果
審査員の寸評(実技)
改装後初の日本武道館での剣道八段審査会は初日・受審者427名、1次合格者27名、2次・形合格者2名。2日目・受審者488名、1次合格者27名、2次・形合格者2名となり、計4名の八段合格者が輩出されました。
受審者にとって新型コロナウイルス禍対応の為の面マスク、マウスシールドの着用もさることながら数ヶ月にわたる稽古自粛の要請は多くの受審者に内心の稽古不足、特に納得のゆく纏めの稽古が不足したとの精神的不安感を抱いての受審になったことは想像に難くありません。
審査で問われるものは大別すると次の四項目に分類出来ましょう。
- 構えと間合に関すること。はじめから特定の構えに拘泥する事無く、剣先の高さや足幅などは相手との関り合いの中で臨機応変、最適なものをとる「身構え」と「心構え」。適切な間合の取り方。
- 打突に関すること。「勝って打て、打って勝つな」の訓えに示される「攻め」「三つの先」に基く「打突の機会の捉え方」の実際、更に「一本の決め・有効打突の質」のこと。
- 気に関すること。強く鋭い気力、注意力の集中、瞬間的な決断力等の実際。
- 風格に関すること。端正な姿かたち、節度ある理に適った所作や技前、稽古振りから伺える気位、風格、気品について。等々です。
審査では受審者の表現する剣道技術の熟練度(これには技術表現の原動力となる目には見えない内面的な部分、心理的な技術も含まれます)、そして有効打突を含めた運動経過の質(稽古の出来栄え)が短時間の内に総合的に観察されて評価されます。これらの事からも、先ず、相手との闘いの前に自分自身との闘い、即ち、自己の資質を如何に完全に発揮するかと云う身体と精神のコントロールの闘いから始まることが要求されます。
「自己の能力や可能性を最も合理的に発揮し活用させるにはどうしたらよいか」の問題は剣道に限らず芸能やスポーツなどすべての人にとって最大の関心事です。
受審者の皆さんは既に「自分は何をすべきか」については充分承知の上で日々の修行に勤しんでいる事と思います。この機会に改めて謙虚に自己の剣道の在り方を見詰め直し捲土重来を期して更なる精進をされることを祈念します。
佐藤 成明
*この記事は、月刊「剣窓」2021年1月号の記事を再掲載しています。
行事概要
- 行事名
- 剣道八段審査会(東京)1日目
- 開催日
- 2020年11月26日(木)
- 会場名
-
日本武道館
〒102-8321 東京都千代田区北の丸公園2-3
東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線九段下駅2番出口 徒歩5分*九段下駅混雑時は、1番出口をご利用下さい。