審査会
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剣道七段審査会(東京)1日目
- 開催日:
- 2016年11月23日(水)
- 会場名:
- 東京武道館
審査員の寸評(実技)
2日間にわたり(4会場)を担当いたしました。年齢は40代から70歳代です。審査は限られた短い時間内に、各段の基準(段位審査規則)に該当するものに与えられるものですが、これまでの経験や剣道観で総合的に判断し決断する極めて難しい作業です。総合的とは①着装や構え②攻め(気力・気勢)③間合・機会④打突(発声・強さ・冴え)⑤残心(身構え・気構え・態勢の纏め)等です。概ね試合・審判規則の有効打突の要件・要素です。高段になればなる程、この総合的基準の密度の高いものを要求されると考えられます。特に気・剣・体の一致は不可欠です。たとえ当たったとしても不一致は評価されません。また高段者は攻防の際、激しい動きの中でも体幹が安定してブレないことが求められます。静止している時だけでなく、動きの中でも適正な姿勢を身に付けることが大事です。それには足さばき(ともなう足の引付)がポイントとなります。
審査で苦労されている方はこれまで先生、先輩方から注意点やアドバイスを沢山受けておられると推察致しますが、今の自分(年齢や体力等を考え)には何が必要で必要でないか、多くの情報を一旦整理され今後の稽古の目標を立てられることも一考かと思います。
今回4会場で特筆すべきは女性剣士のレベルの高さです。男性剣士を凌ぐ見事な内容で、何名かが合格され改めて女子剣道の隆盛を感じた次第です。先生方の益々のご精武をお祈りし寸評と致します。
審査員の寸評(剣道形)
いまさら言うまでもありませんが、日本剣道形は、剣道段位審査の必須科目になっており、受審段位に対応した審査本数が決められております。
初段に合格し、七段を受審するためには最短で21年のキャリアを重ねなければなりません。受審者は過去に6度の審査をクリアーして七段審査に臨んでいるわけですから、剣道形もしっかり身についていなければならないはずです。が、今回残念ながら数名の不合格者がでました。約束ごとを約束どおりに行っていないのです。形軽視が原因と思われます。形も竹刀打ち剣道と同じで普段の弛みない取り組みが大事ですから、それぞれ原因を究明し捲土重来を期して貰いたいと思います。
合格者についても単に約束ごとを順序よくあわせるだけで活気がなく、攻防の理合、礼法、姿勢、構え、気合、手の内、足さばき、間合、呼吸、先の気位、機会、緩急強弱の備わった感銘を受ける真の形が少なかったと思います。
この審査で審査員から指摘されたことについて申し上げますので今後の修錬に役立てて貰いたいと思います。
- 順序よくあわせているだけで気魄に欠ける。
- 構えができていない。四本目(打)八相の構え=木刀が真っ直ぐに立っている。(仕)脇構え=剣先が高い。小太刀=半身の構えができていない。
- 太刀、小太刀とも抜き合わせの間合が遠く横手交差がとられていない。物打で打突部位をとらえていない人がいる。
- 太刀二本目、打太刀小手打ちが下段になっている。
- 太刀三本目、(打)水月を突き(仕)胸部に突き返す。いずれも高すぎて正しく突いていない。四本目切り結びが高すぎる。鎬をけずっていない。(打)=右肺を突かず横を突いている。
- 太刀二、三、六本目、すり足で行っていない(音を立てている)。
- 五本目、(打)正面打ちが下段まで打ちおろしている。(仕)すり上げが抜きになっている。また残心が剣先と目と目の間に付けてから右足をひいている。
- 六本目、仕太刀の攻め上げに対し(打)剣先を下げていない。
- 七本目、(仕)残心・相手から目が離れている。終わってから抜き合わせた所にかえっていない。
- 小太刀、入身の所作ができていない(二本目)。受け流しが低く刃で受け流している。部位をとらえていない(一、二本目)。左手の扱いができていない(二・三本目)。すり落としが手前に振り回している(三本目)。
- (打)、(仕)の関係が理解されておらず、(仕)が先に動作を起こしている、等々。
最後に合格された方々に心からお祝いを申し上げますと共に、形には剣技の原理、原則が示されていますので剣技の深まり、高まりがそのまま剣道形の深まり、高まりにつながることが大切なことと思います。形を軽視することなく、さらなる今後のご研鑽をご期待申し上げます。
行事概要
- 行事名
- 剣道七段審査会(東京)1日目
- 開催日
- 2016年11月23日(水)
- 会場名
-
東京武道館
〒120-0005 東京都足立区綾瀬3-20-1
東京メトロ千代田線「綾瀬駅」下車 徒歩5分