公益財団法人 全日本剣道連盟 All Japan Kendo Federation

審査会

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剣道七段審査会(京都)

開催日:
2016年04月30日(土)
会場名:
ハンナリーズアリーナ(京都市体育館)
受審者数 合格者数 合格率 形再受審
667 110 16.5% 5

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審査員の寸評(実技)

 京都における七・六段の実技審査の所見を述べさせていただきます。

 まず、全般的に感じましたことは、基本を踏まえた正しい理合の剣道を心掛けていただきたいということです。姿勢、構え、体捌き、間合、打突の機会、冴えのある打突、打突後の体勢、残心といった剣道そのものを、再度振り返ってみていただきたいと思います。

一撃三省について

 一回の稽古、一回の打突と何回も反省してみるという意味。「三省」の「三」は三回という意味ではなく度々という意味です。「省」には二つの意味があります。一つは、自分の行いを振り返って反省すること。二つ目には、省略するという意味。反省するだけではまだ50点であり、反省した結果良いものは残し、悪いものは除いていくことが上達に繋がります。指導をいただいたら素直な気持ちで、自分の欠点を二度と繰り返さないという気概をもって、稽古に励んでいただきたいと思います。反省と省略を繰り返す「三省」が、己の剣道の質を高め、結果として昇段に結びつくのです。

気を錬る稽古に励む

 剣道では、心と気を非常に重要視していることは、受審者の皆様もご認識のことと思います。その代表的な教えが、「心・気・力の一致」です。心・気・力とは攻防つまり「攻める」、「守る」の要諦を説いたものです。心は精神の鍛錬によって得られる平常心や不動心です。一方気は、心で培ったものが外に表れる波長であり、精神力とか生命力という活力です。一般的な気の修錬の段階には、張る気、澄む気、冴える気とありますが、更に気の段階を表す文字に、气・気・氣・*原文_(气の中に火)・氮・*原文_(气の中に喜)があります。また日本最古の兵書『闘戦経』では、気力を別の言葉でも表現します。それが火です。「心の中に燃える火を持っているか」と問います。火は太陽のエッセンスであり、燃える火は命の火そのものであると言われています。 「大機大用」の教えは、機は体なり。用は働き。全ての技は機から成ることこそ、再度ご認識いただきたいと思います。

 受審者の皆様は、日々ご多忙の中、寸暇を惜しんで稽古に励んでおられます。失敗がいいとは言いませんが、「三省」があれば失敗が成功に繋がる一番の近道だと思います。今回、思いに届かなかった皆様の、ご参考になればと僭越ながら二点所見を述べさせていただきました。皆様の更なるご精進を願って寸評に代えさせていただきます。

近 光正

審査員の寸評(剣道形)

 今回、京都における審査会にて、多くの合格者が生まれました。皆様の日頃のご精進振りが窺われ、大変嬉しく、心からお祝い申し上げます。

 残念ながら七段で、不合格者1名が出ましたが、合格者の多くの方も満点での合格は少なかった様
に思われます。駆け足の様な速さで、太刀、小太刀合わせて4~5分で終えられています。もっと、丁寧に、吸う息、留める呼吸も正しく剣道形で学びたいものです。

 『日本剣道形解説書』を、趣旨から形指導上の留意点、審査上の着眼点までを再読され、師に学び、講習会に参加され、剣の理法を体得されます様、お願いします。

 特に、全般的に留意して稽古していただきたい課題を記します。

  • 五つの構え、小太刀半身の構えを正しくする。
  • 打太刀、仕太刀とも、打突部位を正確に打突する。例えば、一本目と五本目の打太刀の切る深さが違います。四本目の突きは右肺です。
  • 七本目の仕太刀の目付は相手の体から離してはいけません。
  • 小太刀の構えの剣先の高さ、を正確に。二本目、仕太刀は、刃先を後ろにし、右鎬で受け流して面を打つ(鎬の使い方)正しくする。この点、多くの方が間違っておられます。
  • 仕太刀は十分な残心を、示すこと、打太刀は仕太刀の残心を見届けること。

 等々、合格された皆様も益々の稽古をなされます様お願い致します。

井上 茂明
*この記事は、月刊「剣窓」2016年6月号の記事を再掲載しています。

行事概要

行事名
剣道七段審査会(京都)
開催日
2016年04月30日(土)
会場名
ハンナリーズアリーナ(京都市体育館)
〒615-0864 京都市右京区西京極新明町1
阪急電鉄「西京極駅」下車 約150メートル 市バス「西京極運動公園前」下車 徒歩1分
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