ゴールデン・ウイークを中心に展開された一連の全剣連大型行事は天候にも恵まれ、順調に進み終えることができました。
大阪市での都道府県対抗大会は地元大阪府が3連覇、女子を加えた7人制で総合力を発揮しました。
京都・武徳殿での演武大会は、全国からの剣豪を集め・例年通りの賑わいで、朝の武道センターも、人波で埋まるほどの中、活気に満ちた合同稽古が繰り返されました。袴の製作実演も好評でした。
多数が挑戦された段位審査もスムーズに終了、称号審査では剣道、杖道で、初めての新規則による範士が出ました。
粒揃いのメンバーで3連覇を成し遂げた大阪府は、結果として順当の勝利と言えます。しかし準決勝戦では、充実した陣容の東京都と、紙一重の差の接戦、決勝戦では伏兵だった三重県の捨て身の戦いに今一歩のところまで押し込まれながらこれを下しての優勝はチームが一丸となった勝利への執念と地元の利によったものとの印象でした。優勝兜は設定以来、大阪に鎮座されたままになりましたが、今後何処が、これを持って出るかに期待がかかります。
戦前の下馬評に昇らなかった三重県が、埼玉、神奈川、福岡を降して、決勝に駒を進めた健闘は、この大会を盛り上げました。全般的には、白熱戦、好試合が続き、女子の充実も目に付きました。また今回から、優秀選手の個人表彰が加えられ、健闘を称えました。
交通の便の悪さを考えると、会場に足を運んだ観客も、ますまず数で久方振りに盛り上がった大会でした。
気になったことは、試合前の竹刀検査で、基準に満たない竹刀が、かなり多く、総数の12%に及んだとのことです。多くは竹刀の先端の太さと先革の長さに欠陥があるもので、男子で検査総数の6%、女子では12%に及びました。安全のため定めた基準が、一般に励行されていないことを反映しており、平素の稽古における状態も心配で、大方に注意を促したいと思います。
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雨に妨げられず順調に終えることができたことがまず何よりでした。試合結果は今月の「剣窓」に一挙に掲載しております。
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組み合わせはプログラムに掲載した基準により行うよう改善に心掛けましたが、結果はどうだったでしょうか。組み合わせに関連して運営側で困るのは欠席者です。今回の申し込み3,566人に対し、実際の演武者の数は3,329人でした。この差の中には欠席者の他に、相手が休んだために演武不能になった方もおります。欠席者の中では、やむを得ない突発の事情の方の他に、連絡不十分の方、出場が危ぶまれている状態の方が申し込み、結局欠席といった方もあります。後半の模範試合の組み合わせに限らず、一方が休みの場合、簡単に相手を作りにくいものです。欠場者は、予定された相手の方への非礼のほか、大会の運営を著しく阻害することを、ご理解戴きます。
試合の運用で、審判は三審制に戻したほか、教士八段の試合も一般の立ち会いに戻しましたが、ここでは緊迫感のある立派な試合の連続でした。
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範士の部は模範試合で行い、72の試合の最後は、90才を超える方の試合で締めくくりました。生涯剣道の実践を目のあたりにする感銘を大方に与えました。しかしこれらの方の演武は、プログラムのこの位置でよいのか、もっと気楽にやれるよう別の位置であってもよいとも思います。
なお教士以下の1,119試合、引き分けが54%、一本勝ちが34%、二本勝ちが11%といった数字が出ています。
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昨年合格者が出なかった、剣道範士の審査は5月8日に行われ、3人の新範士が誕生しました。審査は18の都道府県剣連よりの推薦者28人に、規則に基づいて全剣連が推薦した1名の候補者を加えて行われました。各審査員には4項目のチェックリストによる予備的調査書の提出を願い、その結果による、上位候補者10名に対し、全剣連として別途行った調査結果をも報告、これらを踏まえての各委員の判定の結果合格者を決定しました。厳しい審査結果でしたが、今後の審査のための、貴重な第一歩となるものと思います。
規則による範士の基準には、剣理に通暁、成熟し、識見卓越、さらに人格徳操高潔の項目が示されております。このような剣道人の究極の目標に対して審査を行うことは、難しいことです。多数の候補者は、それぞれの項目について特色を持っておられ、あるいは剣理の項目に特徴があり、あるいは剣道人としての識見にすぐれるなど多様です。今後の審査では、総合判断のための情報、資料の充実も進め、さらに立派な審査にしていくべきと感じました。
さて4日の審査で居合道から2名、杖道から1名の範士が生まれました。杖道の新範士は平成7年以来の、7年ぶりの誕生でした。
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2日に始まった剣道六、七段審査は学科試験を省いたこともあり、順調に進み新規則で取り入れた、日本剣道形の敗者復活受審も合計31名が再挑戦合格されました。
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1,000人近い受審者で運営が心配された剣道八段審査は、手際良く進められ、16人の実技合格者を決めて、午後7時に終わりました。今回361名の多数を数えた60才以上の受審者ですが、一次合格33名でしたが、二次合格者は70才の方ほか2名に止どまり、現実の厳しさを浮き彫りにしました。
八段審査を顧みると、合格者に問題は無かったと思いますが、一次審査で会場別の不均衡が目についたこと、また若手への一次の評価が厳しいとの声があったことを付記しておきます。また昨年に続いて居合道八段審査に挑戦された参議院議員
続 訓弘氏が見事合格され注目を浴びました。
1,000人が挑戦された13日の名古屋での剣道六段審査をもって、春の一連の段位審査も、628人の合格者を決定して終えました。多数の受審者の評価に当たられた審査員のお骨折り、さらに審査の進行、運営を担当された係員の的確な仕事ぶりで、スムーズな実施を助けて戴いたことを記して、謝意を表します。一方時に利あらず、目的を達せられなかった4,000名に近い多数の方には、この経験を糧としての捲土重来、初志を貫徹されるよう期待します。
世界大会の年を除いて、毎年開かれる欧州剣道選手権大会も第17回を迎え、イタリア中部の古都ボローニアで、各国の代表300人の剣士を集め、4月13日から開催され、私もこれに参りました。
大会前には審判技術を重点にした指導者講習会を、全剣連から派遣の加藤範士以下によって3日にわたり行いました。大会はジュニアのトーナメントに始まり、女子、男子の団体、個人と続きます。
男子団体試合では、フランスと地元イタリーが優勝を争い、僅差でフランスが連続優勝、女子団体はフィンランドが制覇、個人試合では3種目とも、新興ハンガリーがタイトルを取るという、目覚ましい成績をあげました。古顔のドイツ、英国などは案外振るわず、新興の諸国の充実ぶりが目立ちました。
技術レベルは傑出した国が目立たず、低位の諸国が追いついて接近、堅実に充実しつつある印象です。審判技術はかなり向上、講習の効果も上がってきました。
総体として整然とした大会であり、着用の剣道具も立派になり、一見すると日本国内での大会か見違えるほどの会場風景で、剣道の海外普及も進んだものと印象づけられました。総会ではブルガリア、スロバキアなどの新規加入もあり剣道仲間は世界に広がりつつあります。
(1)大会の結果、範士、八段の合格者名などの全剣連ホームページの速報が関係者に喜ばれました。5月7、8の両日は1万件に近いアクセスがあったようです。「剣窓」と連携しつつ、広報の実をあげていきます。
(2)欧州大会のあとの審査会で、前ドイツ剣連会長デムスキーさんの令嬢が、剣道六段に合格されました。欧州初の女子六段でしょうか。