秋の大会の口火を切るのは、全日本女子剣道選手権大会です。この大会は戦後の剣道復活から10年遅れの、昭和37年に大阪市体育館で始められました。すでに申し上げているように、女子剣道は実質的に戦後の所産です。大会は回を重ねるごとに形が整い、内容も充実して今日に至りました。
女子大会の会場は数年を区切って各地を巡回する方式をとっています。今年の第51回大会は、静岡県藤枝市の県立武道館から、会場を移して2年目、姫路市の県立武道館で9月2日(日)に開催されました。
出場の剣士には去る5月のイタリアでの第15回世界剣道選手権大会(15WKC)の日本チームのメンバーが6名、更に大会前の強化選手に入っていた剣士が10名含まれており、世界大会を目指しての強化活動の余韻が濃く残された大会になりました。
試合は活発な攻め合いの接戦が続く展開となりました。昨年を含め過去5回の優勝を飾り、今回も地元の予選を勝ち抜き19回目の出場を果たした村山千夏(埼玉県)の活躍が注目されましたが、2回戦で15WKCで個人3位、12歳下の川越愛(兵庫県)に敗れ退きました。
15WKC個人優勝の佐久間陽子(山形県)は勝ち抜いて川越愛を破りましたが、4回戦で、好調に勝ち上がってきた宮川瑠璃子(山口県)に敗れました。
第2試合場で勝ち上がったのは内田舞(熊本県)でした。9年前、旧姓・興梠の学生時代に、茨城県から出場して3位に入賞し、米国での11WKCにも出場のベテランです。選手権大会出場7回目の今回復活の大活躍、勝ち上がって準決勝戦で、宮川をドウで下し決勝戦に進みました。
一方、第1試合場では山本真理子(大阪府)が勝ち進みました。3回戦で難敵・鷹見由紀子(千葉県)を下し、準決勝戦で、筑波大学生の新鋭・山口美紀(神奈川県)をコテで破って決勝戦に臨みました。
こうして決勝戦は、山本―内田の対決となり、厳しい対戦が展開され、延長の末、山本が左ドウを決め、皇后盃を勝ち取りました。
両者の角逐は決勝戦にふさわしいもので、5月の15WKCのメンバーでもあった山本の優勝は見事でした。一方、惜しくも敗れた内田ですが、7歳の年齢差があり、連戦の疲労に耐えながらの奮戦は立派でした。とくに延長に入った終盤、再度にわたり1本になったかと見られる技があり、惜しい勝負でした。
今年の大会、選手の試合ぶりと内容から、今後の発展に期待を持てる充実した大会だったと思います。選手・運営に当たられた各位のお骨折りに謝意を表します。
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