夏休みのシーズンは、行事の書入れ時で、老若男女の剣道愛好者はもとより、各剣連の担当者も総出になります。剣道の力をつける大事な時期で、皆さんとともに頑張っています。
全剣連も、主催、共催、主な後援行事など、予定表でご覧いただけるように10を越す数で、新たに決まった担当役員以下東奔西走の状況です。夏に入った7月5、6日、全剣連は新しい顔触れの常任理事会、理事会を開催、担当業務の区分と分担の大筋を決めるとともに、業務への取り組みの骨格を審議しました。
普及・指導の充実と、今後への戦略の樹立に取り組みます
これまでも軽視してきたのではありませんが、この分野は幅が広く、方策も長期を要するものばかりです。これまでの仕事で、実を結んでいるのは、社会体育指導員認定事業ですが、準備段階から7、8年もの歳月を要しています。前年度取り組んだ仕事では、初級者用の剣道基本形(仮称)があり、一応の成案を得ていますが、これを普及段階に持って行くにはさらなる努力が要りましょう。
一方毎年の事業では、講習の充実に力を入れてきており、効果も上っていることは認められますが、今後の進め方は全面的に見直しを要します。
普及関係の仕事は、これまで事業担当、普及専門委員会のラインで扱われてきました。しかし仕事への取り組みが、当面の大会、講習会などの業務運営に追われ勝ちで、先を見通しての方策の検討、立案等のじっくり取り組むべき仕事は後回しになっておりました。
重点であった新しい称号・段位制度が運用段階に入り、審判技術の向上を目指す施策もメドが付いた今期は、全国的視点で、剣道のレベルアップを図るために
効果ある方策を立案すること、さらにそれを実行に移すプログラムを作り、可能なものから着手したいと思います。今期2年の全剣連の重点課題として取り組むことにします。
今日の仕事と、明日以後のための仕事を別けて取り組みます
以上の趣旨から、まず当面の行事の適切な実行と運営にあたる業務担当と、普及・指導の今後の戦略、長期的方策などを立案、審議し、必要により実行に移す担当とを二分し、それぞれに、役員を配置するとともに、専門委員会も別立てにします。
業務担当には、小杉常任理事(業務委員会委員長)、普及・指導の分野は、仕事の性格も考慮し、大型の特別委員会的のものとし、委員長には岡審議員を委嘱し、担当役員には古田、村上の両常任理事を当てるほか役員を増強します。
従来の強化委員会は、この委員会の傘下に部会または小委員会としておき、西山常任理事の担当になりますが、8月末の強化訓練講習会を控え、新しい業務の展開を期待しています。
基本形部会は廃止し、今後の育て方などこの委員会で審議します。
また女子委員会は廃止し、関係委員会で処理するものは それぞれで行い、その他の多くの業務は、普及・指導委員会の傘下で取り扱うこととし、必要があれば部会などの組織を設けます。また関係委員会に必要に応じて女性委員を委嘱することを申し合わせました。
本年度は新規則施行の2年目であり、適正な実施に向かって一層の努力を傾けるとともに、残された部分の補完と基準の充実を進めなければなりません。積み残しであったのは、学科試験ですが、八段および、錬士、教士の学科審査の適正な実施を進める一方、六、七段の学科試験を廃止しました。残されているのは、五段までの筆記試験で、当分の間加盟団体の定めた方法によることと されています。これについては各剣連を通じての均衡を図ること、またその充実を目指して、全剣連はガイドラインを定めることを考えており、必要な作業に着手します。
また、実行に移りつつあるものに、見直し方策の大綱に掲げている「受審者の立場への配慮を深める」という方針に則っての、審査日を休日にシフトすることと、審査会場の増加です。すでに春の剣道七段審査を、ゴールデンウィーク前に 行っていますが、本年
秋の審査では、六段と同じく名古屋にも会場を設けて 休日に行い、受審者の便を図っています。続いては剣道八段審査も、今後休日に行うことを検討して行きます。
さて審査の質を高めるためには、審査自体の良否を評価し、また審査員の実績を評価するシステムを作ること、また審査員の研修方式と内容を固めることが必要です。取り組むべき課題が多いことを痛感します。担当は角、目黒の両常任理事が加わり、松永常任理事が引き続き当たります。
審判技術向上のための講習方式の確立と全国展開を進めます
前年度から取り組んでいる基幹となる講師の研修は、軌道に乗りかかっていますが、まだ空港内の誘導路をウロウロしている現状です。早く滑走路に出て、離陸体制にしなければなりません。引き続き福本常任理事が委員会とも担当、井上常任理事が加わります。
初級指導員のための講習に始まり、すでに36回を行い、3千人を超える資格者を産み、中級の認定も行っている社会体育指導員養成の事業は、従来の体制を引継ぎ、岡村常任理事が担当し、村上常任理事ほかが加わって進め、取り巻く問題の解決にも当たります。
続き用具の安全性の向上、規格化に取り組む医・科学委員会
安全性の見地から 竹刀の太さが問題にされて久しいのですが、これは重量に跳ね返ることから、基準の見直し、規格の制定が課題になってきます。一方用具の軽量化のための試作研究を行う要請もあります。幅広い課題を持つ医・科学委員会は、医学を含む専門家の集まりですが、引き続き加賀谷副会長自身が担当されます。
IT活用による事業運営の効率化と情報提供の高度化を進めます
内閣が代わって耳にすることが少なくなりましたが、剣道界においてITの活用を進めることは大事です。すでに全剣連自体でも、経営能率化に大きな成果をあげていますが、各剣連でコンピュータを活用しているところはまだ半数に至りません。社会の流れの変化にも対応して、どのように普及を図るか、課題として取り組みたいと思います。情報システム委員会は引き続き福本常任理事が担当され、竹内常任理事が参画します。
居合道は、児嶋審議員を引き続き委員長として運営、強化を図ります。杖道はこれまでのご担当の半田理事が、監事に就任されましたが、引き続き見て戴き、杖道委員長は当面空席になります。
スペースの関係で一括紹介します。大谷専務理事が経理は直接担当、総務は竹内常任理事で、専務理事と一部分担します。総務委員会は専務理事が委員長、東西の資料小委員会は引き続き従来の体制で進行、従来慣行として毎月続けられてきた「剣窓」の編集委員会は、ホームページの運営が軌道に乗ってきたことから、併せての編集小委員会として、総務委員会の下の組織とします。
国際業務は従来どおり、竹内常任理事が担当、委員長を兼ねます。全剣連は来年設立50周年を迎え、記念行事、記念事業が検討されていますが、委員会などの特別組織は設けず、それぞれの担当が立案、実行に移す体制で
進めたいと思っています。調整が必要の事項については、先行している剣道史、全剣連五十年史を含め、加賀谷副会長に統括して戴きます。
これら説明を省略した部分の補足は、次の機会に譲ります。さて業務は一刻も休めないものもあります。それらについては担当役員の責任者で進めたあと担当理事の追加や、専門委員会の編成などを行い、所要の調整を経て、9月前半の常任理事会で審議、9月22日の理事会で固めたいと考えています。
(1)6月13日から5日間奈良市中央武道館で、全国各都道府県から55名の参加を得た、中堅剣士講習会は、9年ぶりに東西一堂に会して錬成を行ったもので、設備にも恵まれ、大きな効果をあげ得たと思います。
(2)6月29日から3日間行われた、杖道中央講習会は、例年を上回る33都道府県から62人の参加を得て、活発に行われたことは結構でした。
(3)初めて青森県で行う、社会体育指導者初級の講習会、主管剣連の努力にもかかわらず、34名の申し込みにとどまり、中止も検討されました。しかし予定どおり6月29日より、小人数の賛沢な講習を実施、参加者にとっては恵まれたものだったでしょう。
(4)同じ東北、盛岡市での6月23、24の両日の居合道地区講習会、こちらは296人の参加という盛況裡に日程を終えています。