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平成14年6月号 第179回

設立50周年記念大会始まる

風薫る5月の大阪、新緑に彩られた京都で、新年度の口火を切る、全剣連設立50周年の冠による、記念大会がそれぞれ行われました。伝統の都道府県対抗剣道優勝大会当日の5月3日には、京都武徳殿では全日本剣道演武大会が始まり、杖道、居合道、なぎなた、各種武道の形の演武がありました。一方西京極の京都市体育館では、ゴールデンウィーク後の平日を避けて、休日の合間に持ってきた剣道七段審査会が行われるなど、行事で錯綜した1日となりました。 役員、審査や審判に当たる方、さらには運営を支える係員などが総動員での働きで、演武者、受審者、や選手などに、あまり不便をかけることなく、終えられたのは何よりで、主催者として、ご尽力戴いた方々に感謝しております。

10年ぶり東京都優勝の都道府県対抗剣道優勝大会

全剣連発足して初めて取り上げられ、今年第50回目を迎えたこの大会は、港に近い大阪市体育館で開催されました。4連覇を狙う大阪府は、準々決勝戦で埼玉県に、代表者戦に持ち込まれて逆転負けを喫しました。一方このところ良いところまで行っては、敗退を繰り返してきた東京都が、今回は層の厚さを生かしてのメンバーがそれぞれ力を発揮し、決勝では埼玉県を前陣から圧倒して一蹴して、実に10年ぶりに優勝を飾り、これまで大阪から離れることが無かった優勝兜を、箱嶺を越えて関東に持ち帰りました。

東京都を今一歩まで追い詰めたのが準決勝に勝ち進んだ北海道で、前陣の劣勢を挽回、大将戦で古川が勝てば同点決勝、または逆転勝ちというところまで迫りましたが、引き分けに終わり逃げ切りを許しました。なかなかの白熱戦でした。

大会を顧みると、年々地域差が無くなり接戦が多くなってきましたが、反面女子選手を含め、年齢層、職域など各分野からの、バライエティある選手を集めなければならないチーム編成で、結局は層の厚い大県が、優位に立った結果を示した大会でした。

40才以上を資格とする大将には、最近まで選手として第一線にあった若手選手に伍して、年齢が上の八段の選手が参加、実力を示して、大会を盛り上げてくれました。

第50回大会記念として、男子10名、女子4名の、敢闘選手の表彰が行われ、個人の健闘に報いました。

順調に進められた全日本剣道演武大会

50年前の全剣連発足の翌年から、京都大会の名のもとに昭和28年5月に始められた大会も第50回を迎えました。明治28年発足の大日本武徳会が始めた武道大会の名を、平成4年より剣道界において頂戴して通算した剣道演武大会の回数も第98回となりました。明治32年の武徳殿完成後、引き続いてここで行われ、積み上げられてきた歴史は尊いものがあります。50回を数えた京都大会の呼称は、もう外してよい時期ですが、略称としては今後とも行き続けることでしょう。

さて大会の中身は昨年と同様に進められました。参加者数の微減はありましたが、順調に充実した大会を終えることができました。

参加されなかった方のために概要を述べます。3日の開会に続く、各種武道の形、続く剣道の大会では、ここだけで見られる薙刀の演武に続いて、杖道、居合道の演武が午後一杯行われました。

明けて4日からは、剣道の部に入り、武道センターを埋め尽す、参加者の剣道朝稽古が3日間続きます。一方8時から平安神宮で、武道の発展、剣道人の健勝を祈念する武徳祭を行ったあと、数年前からやっと開門して貰えた、幕末の会津藩邸を移設した南門を通って、正面から武徳殿に移動、剣道開始式に臨みます。式には主催者挨拶に続き、京都府知事、京都市長の来賓祝辞を毎年戴きます。

剣道形演武のあと、錬士からはじまる演武が、3日に亙って続きます。最終日の6日には、教士の最後の八段演武が始まり、息を呑むような試合が続きます。そして午後の範士の拝見試合で幕を閉じ、来年の再会を約して別れていきます。本年の演武者は、各種武道102人、薙刀89人、杖道128人、居合道731人、剣道2,073人、合計3,123人でした。

全国から集まる愛好者が、1年の練成の成果を示し合い、お互い久闊を叙する場であるこの大会、グループごとの稽古会や、懇親会の知らせが方々に張り出されます。また武道具製作の実演が後ろのテント張りで例年行われ、今年は滋賀県の山口さんの竹刀の製作を見せて戴きました。きらに剣道人の健康管理のデータを得るための、骨量測定が昨年に続いて行われました。

さて剣道人の祭典でもあるこの大会が無事終了し、参加者が気持ち良く帰ることができましたが、それらの方とともに、運営に当たられた京都府剣連の皆さんに厚くお礼申し上げます。

京都・名古屋での段位審査を終えて

本年5月の審査は、剣道段位審査の日程変更、剣道形審査の進め方、八段審査の一次審査の審査員の数など、いくつかの点で変更がありました。実行には細心の注意を払った結果、今後の運用で微調整を要する点もありましたが、総体的に狙いとしていた点は達成され、効果も上げることができたと評価しています。

変更の内容のうち、八段審査を5月2日に変更することは、昨年11月の理事会・評議員会において秋の八段審査とともに内定し、12月号の「剣窓」でもお知らせし、急に思い付いたものではありません。

剣道形の審査方法など、その他の改定の趣旨は「まど」の2、4、5月号にそれぞれ述べておりますので繰り返しません。

結果を振り返ります。一次の審査員数を1名減らした、剣道八段審査は、一次合格者が126名になりましたが、1,000名を超える受審者の数からみて、適当と言えましょう。しかし二次審査の結果は厳しく、実技合格者は12名にとどまりました。この結果は内容的にもやむを得なかったという見方が有力です。合格者の中には、何十年ぶりの八段が生まれた島根県、空白県に新八段ができた富山県があったほか、香川県では社会人の2人が合格するなど、多くの話題を呼んでいます。

4日には居合道の八段審査が行われ、189人が挑戦、一次合格40名について、二次審査を古流によって行い、7人が合格者しました。同じ日の杖道八段審査には18人が受審、2人が合格しました。いずれも年1回の審査で、まずまずの人数といえましょう。

3人の審査員二組によって審査する方式を取った、剣道六、七段の剣道形審査は、丁寧に評価できること、受審者の拘束時間を大きく短縮されるなど、受審者にも喜ばれ、確実に成果を挙げました。

厳格に行われた称号審査

新制度になって3回目の称号審査を行いました。錬士は基準により、各剣連からの候補者推薦を受けますが、この際添付される小論文を全剣連の審査員により審査し、全員合格になりました。

教士については、各剣連からの推薦者に対し4月20日に東京都、神戸市、福岡市の3か所で行った半日の筆記試験の結果を併せて審査し、居合道は3名が全員合格、剣道は176名の受審者のうち、合格基準に達しなかった方を除く、150名が合格しました。

新しい制度で最高位とされた範士審査は、すでに5月4日の審査会で居合道2名、杖道なしの結果でした。

演武大会終了の翌日5月7日に剣道範士審査会を行い、各剣連から推薦の27名について審査し、4名の新範士が決定されました。

剣技の実力に加えて、指導力、識見、人格を備えた、剣道人としての完成度が評価された、厳格、適正な審査だったと感じています。

さて一連の5月の称号・段位審査を終え、合格された1,093人の方々にお喜び申し上げるとともに、残念ながら目的を達せられなかった4千人を超える方々の改めての挑戦をお願いします。

また長時間の審査に当たられた審査員、さらに業務を助けれた多数の係員の方々のご尽力に深甚の謝意を表させて戴きます。

明治村剣道大会来年度より全剣連主催大会に

4月14日博物館明治村内の無聲堂で行われた第27回大会は、伝統的な道場の雰囲気の中、全国から選抜された32人の八段剣士によって行われました。充実した試合が繰り広げられ、島野泰山八段(大阪府)が初優勝を飾りました。

博物館明治村主催「愛知県剣連共催」で続けられてきたこの大会は、次回より明治村の手を離れますが、全剣連はこれまでの実績と意義を評価し、愛知県剣連の協力を得て、今後主催して継続する方針です。

時期は毎年4月開催、名古屋市内で実施の方向で検討します。

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