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平成14年10月号 第183回

指導・講習のための要領の取りまとめ作業進む

昨年新しい役員の体制のもと、全剣連は指導法など講習のための指針の充実を図る方針を立て、専門委員会の改組も行って作業に取り組みました。まず指導部会で検討を重ねてきた剣道指導法は初心者から上級者にいたる段階ごとに準備運動、整理運動、礼法、基本動作、応用動作、基本稽古などに亙って、指導内容、指導上の留意点を纏めた案が固まりました。

また昨年までの2年にわたり「剣道基本形」(仮称)の名で研究してきた成果を指導部会で、純粋に初級者からの指導用のものとして見直し、木刀を用いた「剣道基本技稽古法」の名のもとに纏めました。この稽古法は、11月の記念大会の少年指導の演武において披露されます。

日本剣道形に関しては、部会において原本に基づく解説書の曖昧点、逸脱している点などを吟味、明確にするための作業が続けられ、完成後は剣道形の教程に組み込まれます。

基幹講師の育成から始まった、審判員講習の分野では、細部の点を明確にするための講習用資料の作成に取り組み、「剣道試合・審判・運営要領の手引き」が纏まりました。

剣道の実技向上は、本来実地で稽古し、鍛練して高い水準にいたるべきものですが、そのための指導や講習における手法をできるだけ客観化することが重要で、手引きなど資料化を進めることは、指導の一貫性と効率を高める上で大事なことです。

今回の各委員会の作業の成果は、今後の講習や各人の勉強に役立つところ、大なるものがあろうと期待されます。

内容の向上が認められた夏の剣道審査会

夏の剣道審査会は、六、七段を8月10日、11日に仙台市の宮城県スポーツセンターで、また六段審査を8月25日に福岡市民体育館で実施、猛暑の中合計2,600名弱の受審があり、六段合計283名、七段149名が合格、剣道形審査を別立てに行った審査方式で、朝の内の受審者は昼前に解放されるなど、これまでと様変わりしました。

また審査員には開始前の研修を行い、審査に臨む心構えを再確認したこともあり、審査における評価も妥当であったと感じています。なお前記の資料化の方針に基づき、審査会場の管理体制の明確化、審査員の心構えなどのマニュアル作りを進めていきます。

居合道中央講習会は例年の京都で開催

京都市武道センターに定着した、各剣連からの居合道基幹剣士100余名が集まっての中央講習会は、9月7、8の2日間開催されました。全剣連居合、審判実技、古流にわたる研究、指導に熱心に受講、成果を収めました。前日には児島委員長の主催による居合道委員会を開催、当面の指導要領、次年度以降の行事の打ち合わせを行い、今後の事業展開に備えての準備に万全を期しました。

さて剣道と同じく、居合道について全剣連が期待するのは、審査の合理化、適正化に対する努力です。従来地区講習会のあと行われてきた六、七段審査は、講習と切り離すべきとの方針論から、来年は講習会の前に行いますが、この他審査の公正化、適正化を図るための研究、講習を取り上げていくべきと思います。

鹿屋体育大学学生・出身者の活躍が目だった女子剣道選手権大会

名古屋市中村スポーツセンターで、9月1日に開催された第41回女子剣道選手権大会は、激戦の末、坪田祐佳選手(岡山県)が初優勝を飾りました。坪田選手は鹿屋体大の学生、4度目の準優勝という記録を残した有島選手(旧姓有馬)も鹿屋体大出身、さらに前年優勝の堀口選手(山梨県)と、過去2連覇を果たした朝比奈選手(東京都)を破って三位に食い込んだ岡田選手も同大学出ということで、鹿屋体大デーの様相を呈しました。内容的には後半にいたると引き分け試合も無くなり、尻上がりに充実した大会だったとのことです。

写真コンテストの入賞者決まる。応募作品の質の向上顕著

第6回目となった剣道写真コンテストは、今年は全剣連設立50周年記念行事として、特別賞を設けた他、子供、一般、外国人の3対象部門を設けるなどの企画を盛り込みました。幸い一般の関心も高く、例年の倍の350点の応募があり、審査の結果13点の入賞が決まりました。内容はグラビアでご覧戴けますが、内容の向上が著しく、コンテストとして恥ずかしからぬ水準に近付いたとの審査員のお話に主催者として喜んでいます。入賞作品は来年の全剣連カレンダーを飾ります。

記念行事として10年ぶり、2回目の剣道ポスターも応募状況は好調で、本誌がお手元に届く頃には審査が終わりますが、よい入選作品が出ることを期待します。

茨城県鹿嶋市での社会体育指導員認定講習会

鹿島神武殿で行われた第42回の講習会に、久方振りに顔を出すことができました。80名の受講者が、いつもながらの熱心さで、これが講師に反映、さらにそれが受講者に伝わるという、良い循環が形成されていました。大部分を占める市井の剣道愛好者の受講者からは、参加して一流の講師から講習を受けて良かったとの感想を聞くことができ、本当に嬉しく感じました。

発足以来参加者からかなりの受講料を頂く運営を行っていますが、ここまで定着し効果を挙げているこの講習会に、多くの方が参加しやすくするため、受講者の負担を軽減することを検討しています。

来年の世界選手権大会を控えての国際剣連の理事会開催

早いもので一昨年春の、アメリカ・サンタクララでの第11回世界大会から2年、来年7月に英国グラスゴーでの第12回大会を迎えます。その前年には現地で国際剣連理事会を開く慣例になっており、去る8月31日の理事会に出席してきました。国際剣連の仕組みを簡単に説明しますと、まず会長の下に副会長が置かれています。全剣連常任理事福本氏、韓国剣連会長李氏、欧州剣連会長デュカルメ氏、カナダ剣連会長アサ氏の4人が現在の顔触れです。

理事は日本から竹内(事務総長兼務)ほか3名、アジアは韓国李氏、台湾黄氏、欧州は英、仏、独の各会長、米国マーステン氏、ブラジル玉置氏、メキシコ・チャベツ氏の顔触れです。

議事は、決算確認の他、規約の改定が審議決定されました。また書面理事会ですでに決まった、来年の大会要領が報告されました。

次の大会では、女子の試合がいよいよ公式種目になります。大会は来年7月4日より3日間、英国グラスゴー市ケルビンホールで開催され、日本も選手団編成の準備に入っています。

理事会の状況は、国際担当から誌上で報告されますので、それに譲りますが、一言でいえば、会議ではお互いフランクな意見交換があり、良い雰囲気で終始したことをご報告しておきます。

開催地グラスゴーという所

この町は英国北部、スコットランド最大の都市で、ロンドンからは400キロ余り北の、西岸に位置します。18世紀の産業革命期から工業都市として発達した港町で、当時の目覚ましい英国の経済的発展を支えました。また学問の町でもあり、グラスゴー大学はその中心で、明治時代の日本とは交流が多く、その古いたたずまいは歴史を感じさせます。

ところで大会会場のケルビンホールの名から思い浮かぶことがありませんか。これは19世紀の著名な物理学者としてグラスゴー大学で活躍、後に学長も勤めたケルビン卿(ウイリアム・トムソン)の名を残したものと思います。熱力学、電気磁気学分野で活躍、多くの歴史に残る業績を挙げた方ですが、よく知られているのは摂氏零度が273度の絶対温度の考えを導入したことで、その単位ケルビンーKーに名が残されています。

断片

(1)「剣窓」復刻版刊行を検討 

記念の年ということで、まずはこの10年の剣窓をめくって見て、いくつもの連載の力作に目を引かれました。拝読していたつもりが、見落としがあったりして、新鮮な感銘を受けました。紙面の関係で細切れで続けて戴いた当方の事情もありますが、このまま埋もれてしまうのは勿体ないと感じます。記念行事として、力作に何らかの謝意を表することも考えますが、他にも多く見られる珠玉の作品を併せて、特別復刻版の出版を検討したいと思います。

(2)寄付募集

50周年記念行事を支えていただくために、浄財の募集をお願いし、多くの方から賛助を戴きつつあります。しかし本誌の紙面に載せる他積極的にお願いをしていないのが現状で、そんな話は知らなかったとの声も耳にします。

この計画には金額の多寡にかかわらず、できるだけ多くの方に賛助戴くようお願いします。その資金は、先人の功労者の名を残す殿堂計画の、各々の方のレリーフを作る費用にまずは充当したいと考えています。多くの方のご賛同、ご協力を戴きたく存じます。

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