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年頭所感

財団法人全日本剣道連盟会長
武安義光
  皆さん明けましておめでとうございます。剣友の皆さんが、健康で新年を迎えられることを何よりも念願しています。


  幸いこの年は日本経済の立ち直りも顕著であり、国内政治も昨年の総選挙の結果安定した状況で迎えられること何よりです。しかし考えられないような凶悪犯罪が続発し、民心も道義的面など心配される状況にあります。また国の財政は多大の赤字を累積、改善にはほど遠い有様です。さらに地球環境問題の深刻化は避けられそうもありません。これらはいずれも国民の負担の増大として跳ね返ってくることは確実です。近隣諸国の急速な成長もあり、日本の世界における経済競争力も楽観できません。このような内外の情勢を切り抜けていくため昨年の繰り返しになりますが、日本人が精神的にも、肉体的にもしっかりしたものになって行かねばなりません。そこで決まり文句である、剣道の果すべき役割が大きいことを改めて強調いたします。


  剣道を取り巻く情勢でいつも出る話は少子化による参入者の減少です。確かに対応していかねばならぬ問題ではありますが、私は剣道界以外の方に話す時は、関係者の努力で少子化の状況下対応にかなりの成果が上がっていると説明します。全剣連はこの状況への対応は指導者養成など正攻法で進んでいますが、関係剣連と協力して現場での活動の支援方策を講じていきます。


  今後増える定年を迎える団塊世代の方や、主婦に、剣道具を着けての本格的剣道でなく、竹刀や木刀だけでできる剣道形や居合などの教室を開き、余暇利用の趣味と体力維持のためやって貰おうとのお話しもありましたが、確かに少し発想を変えての方法も必要かと思います。


  さて昨年の事業を振り返りますと、指導、教育を重点としてきた数年の準備のあと事業基盤での前進を感じます。たとえば講習事業では各剣連の取り組みを優先し、全剣連はこれを援助する方向に軸足の重心を移しました。剣連によりまちまちでしょうが、逐次成果が上がるものと期待しています。すでに学校剣連で中・高の先生の講習をブロック単位で計画的に行うようになった実績が見られます。


  指導者の育成では審判講習の講師要員の研修も軌道に乗って、各地で効果を挙げつつあります。全剣連の行う審査会の前には必ず審査員研修を行い、内容ある審査を行うよう準備しています。これまで大家と扱われていた方々が率先、努力されるようになったこの風潮が、全般の指導、教育に成果を生まない筈はありません。また10年を経た社会体育指導員認定講習では、昨年9月に第1回上級講習を行いました。43名の方が資格認定を受けられましたが、これまでの6千人を越す初・中級資格受有者とともに各地で活動され、剣道普及の一翼を担われることを念じます。


  さて昨年は愛知万博の行事に参加、8月31日に万博ドームで剣道フェスティバルを実施し好評を博しました。私はこの成果は剣道の一般への普及のため活用できるものであり、全剣連がこの分野で価値あるものを作れたことを評価します。


  剣道の海外普及は進んでいます。特記すべきことは去る11月28日に、香港剣連主催で第1回中国剣道選手権大会が開催されたことです。香港、マカオと既存の剣連の他に、本土から北京、上海、広州が参加、9チームで優勝を争いました。各地の人々の実に真面目な剣道への取り組みに好感を持ちました。広大な隣国である中国での剣道の胎動は喜ばしいことです。


  さて昨年も触れましたが、江戸時代に武士の子弟に刀の操法を訓練するために考案された竹刀剣術ですが、明治に入り武士階級の消滅と軍事上の意義も無くなり、存立の基盤を失いました。しかしその後日本刀の操法、武士道の精神を残しつつ、剣道として再興しました。教育的価値も評価され内容も高度化して普及の道を歩み今日に至っています。


  この日本文化の所産の価値を再認識し、お互い剣道の社会における役割を果して行く年としたいものです。

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