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3月に入って思わぬ寒さに見舞われましたが暖冬の故でしょうか、桜の開花も早いようで、九段坂も3月中には見頃を迎えそうです。新年度を控えて全剣連の業務にも拍車がかかっています。
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新年度の事業計画、収支予算はすでに各方面の意見、希望を徴し、検討を重ねており、3月18日に開かれる理事会・評議員会で決定を見ます。ほぼ固まった事業計画案の主な方向を以下紹介します。まず指導・教育を通じて質の良い、レベルの高い剣道を育てて行くこと、剣道の普及を進め、愛好者を増やす努力をしていくことなどには当然のことながら変更ありません。この目標に向かって、講習事業全般の効果を挙げるよう努力しますが、前年度までに完成した多くの資料を活用し、講師の研究も高めて充実を図ります。
このうち強化訓練については、昨年の世界大会を終えた新年度に選手強化のほか、剣道界全体の強化体制を見直し、関係団体を含めて体系を急ぎ構築します。
また取り組んで8年の社会体育指導者育成事業は、全剣連の講習事業の重要な柱として推進します。
さて次年度事業の方針で強調しているのは、広報活動、さらにこれまで基盤を築いてきた文化活動全般を充実させ、社会全体の剣道に関する理解と評価を高めることを目指すことです。
剣道の国際普及を進め、海外での剣道の充実を図ることも、国際的な文化活動の充実として重視しなければなりません。
さて称号・段位制度の適正な運営も引き続く重点ですが、すでに前号でお知らせした審査の合理化を進めることの他、着手している五段以下の審査の充実、全国的水準の適正化を図るための方策を検討し進めていきます。
またすでに長期構想企画委員会で取り組んでいる、剣道の長期的方策の在り方の検討を進めます。
全剣連の収支予算の主体である一般会計の16年度予算規模は、約6億1千万円で実質的に収支均衡しています。収入の太宗を占めるものは登録料、審査料で合計5億1千万円で、八割を超えます。支出を見ると、事業費2億7千万円、管理費2億4千万円が大きなもので、特別会計への繰入金の8千万円が続きます。
特別会計は今回廃止する50周年記念事業を除き、広報・普及、社会体育指導員養成、国際、世界大会積立金の四者です。
一般会計の支出を個々に見ると前年度と大きな変化はありませんが、特別会計の中でスタートした、映像博物館関係分が組み込まれ、道場建設積立も継続します。事業の中では関係剣連への後援助成費の枠を増やし、事業の展開に備えています。企業や社会での経費の合理化が進められている時代に、全剣連も浄財の使用に細心の注意を払い、冗費を削りつつ事業の効率化を進め最大の効果をあげていくよう努力します。
事業は本年度で累計の初級資格取得者4千人、中級資格取得者1千人を超え、全国の剣道普及活動に効果を期待できる段階に達したものと見ています。
事業は独立採算を目指してスタートしてきましたが、本年度に方針を改め、他の講習事業並に一般会計から費用を支援することにし、一方受講料も年度途中2割余り値下げしました。その効果も加わってか受講者も増えて活況を呈しています
15年度の実績を見ると。年間の初級取得者477名、更新207名、中級取得者196名となります。特別会計としての収支見込みは、収入では受講料、登録料などが3千2百万円、支出では、事業運営の費用が事務局人件費分担分を含め3千9百万円で、その差を埋める一般会計からの補填は8百万円弱に止どまりました。これは予想以上の好成績であり、講師、受講者、関係剣連の皆さんの努力の結果と評価できます。17年度からは上級講習も始まり、資格者の活用を進めることを含め、一層の努力を重ねます。
昨年1月に設立50周年記念事業として、第1回を開催したのに続く第2回講演会は、2月28日に同じく九段会館ホールで開催、中村民雄氏と津本 陽氏の講演と、記念事業として作成した映像「時代をつなぐ剣の道」を上映しました。会場取得の関係で、開催時期が期末の試験シーズンになりましたが、500人余りの熱心な聴衆は、他では聞くことができない滋味あふれる内容に感銘を受けたと思います。内容は「剣窓」に概要が掲載されますのでご覧下さい。今回の講演会にあたっては広報に留意し、チラシを多数配付しましたし、一般紙のいくつかにも報道されました。その割にはという感じもありますが、広義の広報効果をも考慮すれば、立派な成果を収めたものと考えています。
次回は本年12月11日(土)を予定し、他の行事と組み合わせて「剣道文化の日」といえる形で実施できればと思っています。
全剣連の専門委員会は全部東京で行われているとお考えでしょうが、資料小委員会は、東西で並列しい開かれており、唯一東京以外での専門委員会になっています。古文書などの研究は東京で集中して行う必要はないし、西日本の人材の参加や現地での調査もやりやすいことから、平成9年から現在の形になっています。
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今回大阪・舞洲での社会体育講習への出席と兼ねて、大阪教育大天王寺キャンパス内の委員会を訪れました。いつもは古文書などに取り組んでいる委員会ですが、現在は第100回を迎える全日本剣道演武大会のための記念資料にする、明治以来の大会の新聞記事を纏めた資料作成に集中的に取り組んでいます。併せて作成されるリーフレットとともに、演武大会の記念品として参加者に贈られます。
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定例の剣道研究会は、例年と方式を変え期間も丸2日とし、分科会方式を取り止め、全体会議による運営で、2月21、22の両日、北本市の解脱会研修センターで全国からの研究員27名と 役員・幹事など24名が参集し 行われました。指導法をめぐっての研究が中心で、熱心な討議が重ねられました。席配置も円卓式になり、多くの人が積極的に発言された効果的な研究会を終えました。
3月10、11に箱根湯本で開催。執行部側より新年度の方針や検討事項などについての説明を行い、意見の交換がありました。
席上西村守正審議員より、NTT剣道部の154人の回答を得た調査結果の披露がありましたが、剣道界の現状、今後の在り方について示唆するところの大きい内容に関心を集めました。
(1)最後と思われる剣連五十年史に寄稿して
記念行事のシーズンは過ぎたと思われるこの頃に、2つの剣連から設立五十年史の祝辞の依頼を受けました。戦禍に蹂躙された土地から立ち上がった沖縄県剣連と、学校剣道がすべて禁止されたあと、独立を回復して新学制のもとにスタートした高校体育連盟剣道部からのものでした。
ともに大きな産みの苦しみを経てようやくて発足した2つの剣連の当初の先人の苦労は察するに余りあります。片や米国の軍政の中、内地とも交流を重ねつつ活動を続け現在に至ったもの。片や多くの偏見と白眼視される空気の中、加入を果たし学校での剣道教育を築き上げていった、この時期の先人の労苦を偲び、感懐を覚えつつ一文を草したことでした。
(2)日露戦争の歴史を思う
先月は日露戦争開戦100年にあたり、ロシア側で行事が行われたことが報道されていました。この原稿の最終期限と編集担当から迫られている3月10日は、翌年陸戦で決定的となった満州での奉天戦(現瀋陽)に勝利を収め、戦前は陸軍記念日とされていた戦前派には忘れ難い日です。国を挙げての大戦の中、5月の京都での演武大会は中止されることなく続けられていたことに興味を覚えました。第二次大戦期間、その他の平時に特別の理由で何回か中止されていた演武大会も、いよいよ第100回を迎えます。