前年度の事業報告と収支決算は、6月13日の評議員会、理事会の承認を受けて決まります。会議に提案される案が固まりましたので成果を顧みます。
まず取り上げるのは「講習体制の変更」で、全剣連と各剣連との役割と分担を見直し、一般への講習は各剣連の方針のもと、必要により全剣連が応援する体制にし、重心を地方に移したことです。
この流れに沿って昨年度は剣連に対して、34回の講習に講師を送る他、資金援助を行いました。一方各ブロック持ち回りで行ってきた地区講習会は廃止し、女子講習会も17年度限りとしました。18年度も、引き続き各剣連の37回の講習を支援することにしています。講習科目は審判法が多くを占めます。
この体制では各剣連が自体の計画のもと、地域のレベルアップに努力頂くことを期待しており、全剣連自体は講師養成、強化活動、など全般にわたる必要の分野に専念することになります。双方の分担として望ましい方向と考えていますが、実際上効果が上がるかどうか、評価しながら進める必要があると思います。
つぎの目玉は強化訓練の中に、「選抜特別訓練講習会」を取り上げたことを挙げます。度々ご披露してきましたが、全国から選抜された若手剣士を2年間にわたり訓練を重ね、将来の剣道界を背負う剣士を育てようとするものです。滑り出したばかりの意欲的な計画ですが、手応えを感じています。
平成7年に始めた「社会体育指導員養成講習事業」は、その後順調な成長を見せ、10年目を迎えて「上級指導員講習」を実施する段階に進みました。東西で2回の講習会を行い90名の上級資格者を生みました。特記すべきことは、中級以下の講習が、文部科学省(日本体育協会)のスポーツ全分野の枠組みの一環として行って来たものであるのに対し、上級の講習・資格は、その枠を超えて剣道界独自に築いたものであることです。
審査関係では「各剣連に委任していた五段以下の実態調査」に前々年度から取り組み、概況を把握したことを挙げます。そして改善のための所見、学科審査の例題集などの取り纏めに着手できたことです。全剣連としてこれまで手を付けていなかった領域で、五段以下の各剣連での審査の向上に役立つ成果と考えています。
長期構想企画会議で取り組んで来た、「指導の心構え」が会議としての成案が概成したことは大きな前進と評価できます。
さて薬物の使用に対する監視問題がスポーツ界全体の関心事になっている流れに対応して、全剣連が「日本アンチドーピング機構(JADA)に加盟」したことも、異質の事業として特記します。
つぎに国際剣連として行ったことで、前年成功しなかった剣道の「国際競技団体連合(GAISF)への加盟」を実現するために、海外の関係団体への働きかけに努力し、結果的に本年度に入って成功しましたが、これまでと異質の努力が実ったものです。
最後に愛知万博に参加して行った「EXPO剣道フェスティバル」は多数の観客を集め、剣道としてかつて無かったPR事業を成功させました。単発の事業ですが、計画による多くの副産物、準備の間に得た知見、経験とともに、剣道界に残される貴重な財産として評価しています。
自画自賛となったかとも思えますが、振り返ると17年度は多くのことに取り組み、事業としてかなりの実績を収めたものと確信しています。今後の進展の在り方を気をつけて見ていくべき分野もいくつかありますが、ここに取り上げなかった経常的な仕事を含め、事業に努力された関係役職員、専門委員、剣連や多くの方々のご尽力、ご協力の結果であり、ここに深甚の謝意を表させて頂きます。 |