開催場所を名古屋から移して2年目、静岡県藤枝市で9月3日に開かれたこの大会は、昭和37年の大阪に始まる古い歴史を持ちます。今回の第45回大会は、女子選手権大会としてふさわしい充実感を持ち得た大会を迎えたと感じました。実りの秋の第一陣の行事として続く秋の陣が期待されます。
静岡県石川嘉延知事も来場観戦された一回戦から、せせこましい試合が見られず好勝負が続きました。試合では準優勝になった緒方有希(熊本、高校講師)が、2年前に沖縄から出て準優勝になった新里知佳野(神奈川、大学助手)と展開した20分の熱戦は印象に残るものでした。
優勝者始め上位は実力あるベテランが占めたこと、また各県の予選を勝ち抜いた5名の高校生も、目立つ活躍ができなかったこと、これらは一般レベルの上昇を反映していると見ることができましょう。
優勝、入賞者は、いずれも五段受有者であり、特に決勝戦は昨年と同じ顔触れの対戦となりました。結局村山千夏(埼玉、警察官)が緒方(熊本)を再度下して、連続皇后盃を獲得しました。13回目の出場での連覇、選手権者として最高年齢を更新しての優勝は偉業といえましょう。他の入賞者もいずれも20歳代後半の年齢のベテランでした。初出場組の大学生トリオ、澤部由香(栃木)、ベスト8に食い込んだ谷 芙美(茨城)、井尻麻祐子(神奈川)が目立ち、今後が期待されます。
総体的に見て新鋭の進出が見られなかった大会ですが、実力派のベテランの成長が全体の水準を高めた大会だったといえましょう。 これには前年から回を重ねてきた強化訓練講習会が役割を果たしていると思います。世界剣道選手権大会を一区切りとして続けている強化訓練の受講者は、本年4月から20名に絞って来ましたが、今次選手権大会の各地予選を勝ち抜いて11名が出場しています。すぐれた剣士を選んで訓練を重ねてきていることから当然ともいえますが、強化訓練も効果を挙げていることが窺えます。 |