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平成19年8月号 第241回

全剣連会長  武安義光

  九州南部を中心に豪雨が襲っている今年の梅雨で、この地区の方々にお見舞い申し上げます。一方夏も目前で学校関係を中心として大会が集中するシーズンを迎えます。これからの剣道界を支える逸材が頭角を表してくれることを期待しましょう。


  先月号で一部をお知らせしましたが、全剣連は役員交代期を迎え、新しいメンバーに参画願っています。事業の進め方の基本は変わりませんが、充実した活動を展開すべく準備を進めています。

新役員により新役職を選任

  先月13日の評議員会で選任された役員の顔触れは『剣窓』7月号に掲載しました。


  月明けて7月4日に開催した理事会で、会長以下の新役職を互選し、続いて11日の新常任理事会で新しい担当業務の進め方、役員の担当などを確認しました。


  さらに9月6日に予定される理事会で、専門委員会委員、審査員選考委員会委員などの規則に基づく委員などを決め、新たな業務体制が固まります。一連のこの方式は、2年前の改選期と同様で、その趣旨などは『剣窓』17年8月号「まど」をご参照下さい。

主要人事の概要

  今回の異動でまずお知らせすることは大谷正俊専務理事が勇退され、後任に福本修二常任理事が就任されたことです。


  大谷さんは平成13年に宗像善俊氏の後を担って6年にわたり務められ、全剣連設立50周年行事、愛知万博行事などを処理され、事務面では情報化の推進、新たな問題として対応が必要となったアンチドーピングへの対応などに当たられたほか、対外関係事項、全剣連事業全般の円滑な進展を縁の下で支えられ、その充実に貢献されました。またとかく剣道に置き去りにされがちの、居合道、杖道の運営改善、充実に寄与され、実績をあげられたことは見落とせません。


  後任をお願いした福本氏は、剣道指導者として全剣連事業においても行動力を発揮して来られましたが、私学運営の経験を生かし、明るい人柄による手腕を発揮して頂けると存じています。


  会長ならびに加賀谷誠一副会長は留任し、2期務められた奥園國義氏が退かれ、前(財)埼玉県剣連会長の審議員大久保和政範士が就任されます。さらに大明(株)相談役の西村守正審議員を煩わしました。


  常任理事には原則70歳未満の方をお願いしています。社会体育指導員養成事業に尽力された岡村忠典氏、審査の向上を進められた奥島快男氏、実業団代表で対外関係に尽力された小杉信太郎氏、強化担当の島野大洋氏、審査を支えられた松井 明氏が退かれました。


  新たに就任されたのは、淺野 修(警視庁)、浅野直道(実業団、前監事)、佐藤征夫(前理事、FIK事務総長)、村上 済(香川県)、井上茂明(奈良県)、長尾英宏(東京都)、目黒大作(秋田県)の7氏、田口榮治、岡本 淳、真砂 威、林 邦夫、藤井 稔の5氏は留任されました。


  以上の方々が全剣連執行部の中核となりますが、一般理事の方にもそれぞれ業務を担当して頂き、一体となって事業進展に努力していきます。


  また学校関係3団体の代表1名は理事待遇参与として参画頂きますが、今回は学校剣連小久保昇治氏が就任されました。さらに居合道を代表して河口俊彦氏をお願いしています。


  監事の島田尚武氏は再任ですが、理事に就任された浅野直道氏、退任された佐塚重義氏に代わり、小林 惺氏(栃木県剣連会長)、鴨志田恵一氏(宇都宮大ほか非常勤講師、前参与)が新任されました。

顧問、相談役、審議員などの顔触れ

  これらの役職は、会長が理事会、評議員会に諮って決めることになっていますが、以下7月4日の理事会で合意を得ており、文書による評議員会に諮って決定されます。


  相談役は現状維持、顧問は県剣連会長に就任された国会議員として、小坂憲次氏(長野県)、鍵田忠兵衛氏(奈良県)の他、学識経験者として、松田昌士JR東日本相談役、和田紀夫NTT会長に就任をお願いしました。


  審議員は、80歳を超える5名の方が慣例によりが勇退され、2名が副会長になられたので大幅な異動になりました。新任の有満政明(鹿児島県)、古田 坦(山口県)、熊本 正(広島県)、奥島快男(京都府)、勝股寿彦(愛知県)、岡村忠典(東京都)の諸氏は、剣道家、剣連業務でもベテランの方で、これに居合道の岸本千尋氏(千葉県)、杖道からの波止成徳氏(福岡県)、大谷前専務理事を加えた9名の方が新たにメンバーとなり、4名の留任の方と共に、これからの時代に向かう審議員会の役割を担って頂きます。


  今般勇退された賀来俊彦氏(奈良県)、園田政治氏(大阪府)、橋本明雄氏(東京都)、宮ア 昭氏(兵庫県)、上野貞紀氏(神奈川県)の5名の方は戦争による戦前、戦後の剣道の空白期を繋ぐ役割を果たされた世代の方で、長年の剣道界へのご尽力にお礼申し上げます。

執行部の業務分担について

  4日の理事会において主な業務について、担当の主任と専門委員会委員長を、会長より指名してお願いしました。普及―長尾、試合・審判―村上、審査―真砂、強化―井上、社会体育―目黒、杖道―田原、国際―佐藤の諸氏であり、これらの方はそれぞれの専門委員会の委員長も併せお願いしました。


  また居合道委員長は審議員の岸本氏に、総務の主任は岡本氏ですが、委員長は福本専務理事が当たります。その他、医・科学委員会とアンチドーピング委員会は、引き続き松永氏、大谷氏が担当されます。その他各分野の担当役員、専門委員会委員などは、9月初めの理事会で陣容を固めます。


  今回の布陣では現業関係の主任、委員長には新しい方を委嘱しています。この他の経験豊富なベテランの方がおられますが、予想される新しい業務、総合的視点からのスタッフとしての役割をお願いし力量を発揮して頂くことを期待しています。

新しい陣容による業務の進め方

  顔触れが変わっても、全剣連の業務の進め方は、3月に決定された「平成19年度事業計画」において、長期的目標を含めて定められており、その推進を図ることに尽きます。しかし多くの事業のうち重点的に進める分野につき、私は理事会において次の諸点を要望しました。


  まずは普及活動ですが、「指導の心構え」ができ、諸般の講習会資料、社会体育指導者養成事業も進み、審判講師要員への研修、各剣連の講習体制も整備されつつある今日、現場への浸透を目標として活動を進め、成果を収めなければなりません。


  一般への普及に並んで、実効ある強化活動を進める必要があります。前回の世界大会の結果を見据えての選手強化も大事ですが、将来の剣道界を背負う若手の育成に成果をあげたいものです。


  日本文化の精華と言える剣道の世界各地への浸透は、国益に適うものでもあり、この観点での国際剣道の普及に力を入れるべきです。


  称号・段位制度の適切な運用は、剣道を支える最重要事項であり、現在向上の実は上がりつつありますが、現行規則の前文に掲げられている、「称号・段位の見直しについて」を見返し、再認識して趣旨の貫徹を進めることを今後の運営の柱とします。


  また各剣連の事務、広報の活動を充実させる必要があります。最小限度のこととして、パソコンの利用、ホームページの開設を実行しさらに内容を高めていくことを要望します。


  以上の事項の内容にわたっては、改めて次号で取り上げます。

断   片

@ニューヨークでの日本文化
  先日NHKテレビで、現在のニューヨーク市紹介の番組があり、その中でNY市における日本文化の1つに剣道の活発な稽古風景が紹介されました。


  NY剣道クラブでの取材ですが、興味を引いたのは愛好者のビジネスマンへのインタビューでした。剣道のどこに惹かれるかの問いに対し、「忍耐力がついた」「ストレス解消」などの他に何人かから「剣道の良さはクールだ」といった答えがありました。日本人と違った反応でしょうか。


A北本での外国人講習、武道館での少年錬成大会、家庭婦人大会、強化訓練講習会などなど、夏の行事はつぎつぎと続きます。新役員、事務局は総動員の活動ぶりです。

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