この大会に執行部が注視する所は、まずは全国各地から選抜された剣士たちが、日本の剣道の技術レベルを示す内容ある試合を展開してくれること、また今後を期待できる上り坂の若手が、どの位台頭してくるかと言うことです。
64名の選手の平均年齢は29.4歳、剣道の力が充実するのは、30歳前後と言われているのを反映しています。出場選手の最高年齢は40歳、最年少は23歳、学生には狭き門である実態を示します。
ほぼ半数を占める20歳代の選手の中に、全剣連が選びだして訓練し、前年度に終了した選抜特別訓練生(通称骨太訓練生)の中から7名が、また訓練を始めている第2期生から2名が出ており、また3名が優秀選手として表彰されたのはまずは心強い所です。
選手の職業では54名が警察官であり、テレビで放映されたベストエイトの試合はすべて警察官が占めました。一般組では齋藤(滋賀県)、鹿野(山梨県)、村(東京都)がいずれも2勝して気を吐きましたが3回戦で退きました。初出場の選手は30名を数えましたが、そのうち木和田選手(大阪府)が3位に入賞、網代選手(兵庫県)が優秀選手に選ばれるなど敢闘しました。
さて各地からの精鋭が激突するこの大会は、5分で勝負がつかない試合が多く、結果的に一本勝負が多くなります。4回戦までの60試合の記録を見ると、二本取った勝負はわずか3試合、大部分が一本で決まり、しかも多くが延長になっての勝負でした。
今大会では準決勝戦から試合時間を10分にしましたが、勝ち進んできた選手たちとはいえ、一本を取ったあとの勝負を狙う両者の角逐を通じ、選手権大会らしい試合としてどなたも堪能されたことでしょう。三本勝負を建て前とする剣道の試合時間は、これまでの各大会の結果を振り返り、今後も検討、改善を図っていきます。
さて大会の結果は寺本選手(大阪府)が逆転で初優勝を決めました。鍋選手(神奈川県)は優勝を逸しましたが、切れ味の良い試合ぶりで紙一重の時の運というべき結果でした。前年は若手が進出しましたが、今年はベテランが巻き返した感じです。戦評は他に譲りますが、1回戦からダレた試合がなく、今後に期待が持てる充実した大会だったと思います。健闘された選手各位、審判の方々、運営を支えた多くの方の尽力を多とするものです。 |