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平成20年09月号 第254回

全剣連会長  武安義光

  例年にない災害が続く中、本番の夏を迎えましたが、早くも蝉の声しきり初秋の兆しを感じるこの頃です。物価の値上がりから生活と経済の先行きが心配される中、何時踏み切るのか周りが気にしていた、改造による新福田内閣が発足、原油や原材料の高騰に直撃されている経済、国民生活の問題解決を最重点として取り組まれますので、お手並み発揮を期待します。ただ国家百年の計、教育の再生をお忘れなきよう要望します。京都府剣連会長を務められている伊吹文明幹事長は財務大臣に、文部科学大臣に鈴木恒夫氏がご就任、それぞれご健闘を期待します。


  この夏はオリンピックの年、北京での大会の動きに報道は集中していますが、剣道界はこの時期学校の夏休みを利用しての少年錬成、高校・中学など、若さ溢れる大会が次々と展開され、さらに全国教職員剣道大会も50回を迎える他、社会体育指導者の認定講習、外国人夏期講習会、七・六段の剣道・杖道の審査会、強化関係の講習会などが続きます。秋の諸大会への準備も始まり、各剣連での予選がつぎつぎと行われ、全剣連を始めとする剣連の担当・講師・審査員など目白押しの行事に追い回される夏です。よい成果を挙げ、秋を迎えられるよう努力したいと思います。

全国家庭婦人剣道大会有終の美を飾る

  7月19日に日本武道館で、第25回の標記大会が行われました。


  社会に出たり、家庭に入るとスポーツを止めてしまう傾向が強かった時代に、ママさんバレーといった家庭婦人のスポーツが、注目を浴びる時代を迎えていました。剣道でもこのような大会ができるのではないか、の構想があり、読売新聞社が強い関心を示して共催者となり、都道府県チームの対抗試合という現在の形で、昭和59年に始められたのがこの大会でした。


  女性の剣道は広まってきていましたが、県によってはチーム編成に苦労があり、全部の府県が顔を揃えて全国大会になったのは、平成14年の第19回大会のことでした。女子学生剣道が盛んになり、その出身者が家庭婦人として多くを占めるようになった近年の大会は、技術レべルの点では当初の頃と比べ隔世の感があります。今回の大会で優勝した東京Aチームを始めとした入賞チームは女性を代表する全国大会というのにふさわしい内容でした。


  さてタイトルに、有終の美を飾ったと記しましたが、先月号のこの欄で紹介しましたように、全剣連は全日本都道府県対抗剣道優勝大会と併せて、都道府県の大会の枠組み変更を考えております。4月の都道府県対抗大会は男子の大会、この家庭婦人大会を女子の大会として、高校生・学生の出場枠を加えた大会への組み替えをするべく、来年度からの実施を目指して各方面との調整を進めています。


  概ね合意が得られる見通しでおりますので、この大会は次回から、「全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会」に発展的に衣替えすることになります。家庭婦人大会として発足した大会が、性格を改めることになりますが、これまで十分所期の目的を果したと思います。


  共催者としてご援助いただいてきた、読売新聞社、日本武道館にお礼申し上げるとともに、後援、協賛いただいてきた各位にご理解頂き、今後と一層のご支援をお願い致したく存じます。

埼玉県越谷市で展開された全国高校生の熱戦

  埼玉県で行われた全国高校総体の剣道大会は第55回を迎え、全国各県の男女代表校剣士を迎え、越谷市体育館で8月2日から開催されました。越谷市は埼玉県東南部の東武鉄道沿線の都市ですが、近年の発達目覚ましく、人口30万を越す都市になっているのには驚きました。


  全国から若人が参集しての大会、3日間の熱戦が続きました。女子の部の決勝戦のPL学園(大阪)と秋田北高(秋田)の試合は、大型選手の伸び面を決め技とするPL学園と、小柄ながら地道な修錬された技の秋田北高の、異なった剣風の対戦となり、決勝戦らしい、見応えある互角の展開となりました。


  男子の部は、いずれも強豪を下し勝ち抜いた、日田高(大分)と、水戸葵陵高(茨城)の決勝戦となり、日田高が初優勝を飾りました。


  全般の印象として、無駄な鍔競り合い、見苦しい防ぎ方が目に見えて減少し、すっきりした試合が多く、好感が持てる内容でした。また審判にも向上のあとが顕著で、試合内容の改善にも効果をもたらしていると見られました。


  先に記した来年度からの男女の都道府県対抗大会への改組の眼目は、高校生・大学生の出番を設けることにあります。試合技術だけの向上でなく、この改組が高校生・大学生の中からすぐれた剣道人材が育つための、励みになることを期待しています。

外国人夏期講習会に4カ国から初参加者あり賑やか

  昭和50年に始まった外国人幹部要員の講習会は毎年行われ、(世界剣道選手権大会の年には審判員講習会)世界の剣道の普及と発展に大きな役割を果してきました。


  本年は第33回で、例年どおり北本市の解脱会研修センターで、7月25日から31日まで開催されました。参加者は各国剣連からの推薦により、来日の交通費は自弁での希望者の中から選考され、今回は40カ国・地域から59名が集まり、折からの猛暑の中順調に終えることができました。


  まずは熱心に取り組まれた受講者の皆さんのご努力に敬意を表し、佐藤成明範士以下の講師や委員の方、万事お世話頂いた解脱会にお礼申し上げます。またこの事業は財団法人JKAから助成を頂いていることも付記し謝意を表します。


  今回の講習には、中国、マケドニア、ウクライナ、モザンビークの4カ国から初参加があり、世界剣道の広がりを感じさせられました。

第50回を迎えた学校剣連の記念大会開催される

  わが国の独立回復を契機として剣道の復興が始められ、学校における剣道の復活に呼応して、昭和33年に全日本学校剣道連盟が結成され、第1回全国教職員剣道大会が、昭和35年2月に大阪市中央体育館において開催されました。


  その後各府県を巡回して行われることになり、第50回を記念する大会は松山市で開催され、日本有数の立派な愛媛県武道館を舞台として、全国都道府県からの教職員剣士400名が集い、8月10日に開催されました。


  大会は5名ずつのチームによる団体戦と、女子、義務教育の小・中学校、高校・大学・教員ごとの個人戦が行われました。団体試合は大阪府が優勝、個人戦もそれぞれ熱戦が展開されました。さすがに警察、実業団などとならぶ、日本の剣道界の有力グループの大会であり、勝ち進むにつれ見応えのある試合が展開されました。試合は気品もあり、気持ちのいい熱戦が続きました。運営面でご苦心があるようですが、大会の際行われる講習会とともに今後とも充実した内容で続けられることを念願します。

[中学校の武道必修化に伴う学校剣連の取り組み]が決議される

  記念大会の際の理事会において、標記決議が行われたことは、教育に携わる方々から構成されている団体として、最も力を発揮して頂きたく期待されるところであり、時宜を得たものと評価させて頂きます。


  これは先に全剣連が行った申し合わせを受けており、関係団体への積極的働きかけ、武道講習会などの実施についての教育委員会への働きかけと協力、剣道授業に関する研究成果の情報提供への努力を行うこと、などを内容としますが、教育現場への浸透につき、学校剣連の支部組織、現場のメンバーのご努力が、成果を生むことを期待いたします。

断 片

@剣道界の長老の方に全剣連として祝意を表明


  秋には敬老の日が巡ってきます。生涯剣道を唱える剣道界は、長年剣道に励まれた、長寿の方々にお慶びを申し上げます。全剣連としては初めてのことですが、90歳以上の高段の方に祝意を表すると共にご健勝を念じ、さらにお礼の気持ちを込めて、ささやかながら記念の品をお届けすることにしました。本年できた高段者名簿を元に、敬老の日を目途にお送りします。


A外国人剣道夏期講習会参加の女性剣士の活躍


  講習会には女性剣士の参加もあり、今年はその数9名に上りました。
  講習の最後、さよならパーティーでは、皆さん、ゆかたに帯を締めた和服姿で出席、パーティーを一段と盛り上げました。全員が近所の呉服屋へ行き整えたとのことです。

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