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平成20年11月号 第257回

全剣連会長  武安義光

  身近な町の店頭には色とりどりの果実が並び実りの季節を示してくれます。郊外に出ると山は木々の紅葉に彩られ、秋本番を迎えました。文化の日には、全日本剣道選手権大会が日本武道館で開かれ、秋の剣道界を盛り上げました。


  一方金融不安に端を発し世界の経済混乱をもたらした米国では、4年ごとの大統領選挙があり、政権が共和党から民主党に移り、オバマ氏という建国以来の異色の候補者が新大統領に選ばれました。これからの政策展開、特に日米関係の今後に関心が持たれます。


  目を転じますと、国内経済では世界不況の影響は免れませんが、この時期に取られる施策、経済界、国民の対応に注目しましょう。剣道界への不況の影響は予断を許しませんが、何事もマイナスに見て悲観する必要はありません。これまでの堅実な方針を踏まえて進めば、活路を見出していけると思っています。

全日本剣道選手権大会盛大に開催される

  昭和28年に始まり、それまでの資格などによる制約を一切無くして、戦後の剣道界の新しい復興のシンボルとして始められたこの大会、第56回を迎えました。


  この間年々多くの先達が、栄冠を目指して錬磨を重ね、幾多の名勝負を生んできました。今回も有力な剣士が各剣連での予選を通れずに退くなど、厳しい競争を勝ち抜いた剣士たちが晴れの舞台に顔を揃え、天皇盃を目指す激戦が展開されました。


  正代賢司選手(神奈川)が優勝しましたが、見所の多い大会であったと思います。

正代選手25年振りの上段剣士として優勝を飾る

  選手権大会出場4回目、27歳の正代は粘り強い試合を重ね、試合時間5分の3回戦までの3試合をいずれも延長に持ち込み、10分を越え一本勝ちで切り抜けています。ベストエイトに残り、優勝候補の筆頭と見られた前年の覇者寺本将司選手(大阪)と雌雄を決する戦いを迎えました。


  寺本も好調、1回戦を除き短時間で試合を決めて勝ち上がってきました。立上がり間もなく面を決めて優位に立ち、そのまま押し切るかと見られました。しかし正代屈せず混戦が続き、残り時間1分を切った時、寺本の面を打って勝負に持ち込みました。そしてその直後小手を決め逆転勝ちを果たし、寺本の連覇の夢を挫きました。


  今年から準々決勝戦は試合時間10分に改められています。昨年のままであったら、結果は変わっていたかもしれません。時間を意識した試合者の心理の微妙な動きも影響しましょう。昨年の決勝戦で、寺本は髙鍋 進選手(神奈川)と対戦、面を先取されますが、10分の時間切れの前に面を返して延長の末、髙鍋を下して覇者になっています。今年は同じ神奈川の正代に、同じ経過でお返しをされた形になりました。勝負の難しさ、周りから見ての面白さを実感させる試合でした。


  難敵を下した正代、このあと米屋勇一選手(埼玉)を退け、決勝で20分の激戦の末、若生大輔選手(北海道)の面を打って優勝を決めました。


  6試合で通算60分を超える試合を、衰えを見せず勝ち抜いた積極的な正代の試合振りは多くの観客を魅了しました。
表彰式で天皇盃を受ける正代選手

久方振りの学生剣士奮闘、刑務官の初入賞

  國士舘大4年の畠中宏輔選手は郷里の和歌山県から予選を勝ち抜いて出場しました。すでに全日本学生の覇者であり、団体試合でも同大を優勝に導いた実績ある剣士で、13年ぶりの全日本選手権大会出場の学生剣士として注目されました。
落ち着いた試合ぶりで次々と強敵を下して4回戦に進出、準優勝の若生に惜敗しましたが、優秀選手として表彰されました。同君は来春卒業警視庁に就職しますが、今後の成長が期待されます。


  また広島県より出場の有場賢輔選手、小兵ながら動きの良い剣風で力戦、4回戦では警視庁佐藤範和選手を下して、準決勝戦に進出、若生と対戦、力尽きて退きましたが三位に入賞、刑務官として初入賞を果たしました。同選手は第1回選抜特別訓練講習会(通称・骨太剣士養成コース)修了者でもあります。

谷 鐐吉郎氏、中島義孝氏に剣道功労賞が贈呈される

  愛知県剣連会長、全剣連審議員、相談役を務められた谷さん、群馬県剣連会長を務められている中島さんに剣道功労賞が贈られます。


  10月8日の選考委員会の推薦に基づき11月2日の理事会で決定されました。12月6日に九段会館で贈呈されます。


  また同じ日の理事会で有功賞64名、また少年剣道教育奨励賞301団体(個人)の受賞が決まりました。これらの賞は剣連を通じて贈呈されます。

全日本都道府県対抗剣道優勝大会、全国家庭婦人剣道大会の組み替え決まる

  同じ日の評議員会、理事会において、来年度より標記二大会の組み替えを行うことが正式に決まりました。このことについてはすでに執行部案を披露していますが、原案通り決定されました。


  都道府県大会は、従来通り4月29日に、高校生・大学生の枠を設けて男子だけの大会として実施されます。


  家庭婦人大会は、全日本都道府県対抗女子剣道優勝大会として7月18日に日本武道館で行われます。人員はこれまで通り5名で、先鋒・次鋒に高校生・大学生を当てます。


  組み替えの趣旨はすでに述べてきておりますが、男子、女子の各都道府県の総力戦としての二本の柱を立てるとともに、高校生、大学生に出番を与えて剣道界の活性化を図ることを目指します。


  特に女子については、ママさんバレーよりの類推とも言える、レクリエーション的大会を、女子の本格的大会に性格変更を行うことを通じて、女子剣道界が活性化されることを期待しています。


  女子の試合について、近年試合時間を男子並みに改めつつありますが、これらと対応しての措置となります。

相談役・松本良諄氏逝去される

  全剣連副会長・相談役、国際剣道連盟副会長、大阪府剣道連盟名誉会長、また全日本学生剣道連盟会長などを務められ、剣道の振興、剣道界の円滑な運営に長きにわたって努力頂いた、松本さんが去る10月29日に亡くなられました。


  ご病気をされましたが、順調に回復中とのお話で、特に11月3日の全日本選手権大会には出席されるとのご連絡を受け安心しておりました矢先の急逝で、ショックを受けています。


  松本さんは大阪商大のご出身、戦前の学生剣道に打ち込まれました。戦中は軍務につき満州勤務であったため、敗戦後シベリア抑留の憂き目を見て、苦労されました。戦後は紡績業界で活躍され、敷島紡績の社長を務められました。事業だけでなく、剣道を含めて広く世話をされ、とくに健康保険の関係、ロータリークラブなどでご苦労された話はよく伺いました。


  関東、関西と離れていましたが、同世代の学生剣道出身で、話が良く合いました。剣道界の運営については穏健で、筋も通されよく助けて頂きました。昨年剣道特別功労者に推薦しました際には、当初固辞しておられましたが受けて頂き、「やっぱり貰って良かったよ」との言葉を頂き一安心しました。急のご逝去誠に残念で、哀悼の念に堪えません。

秋の剣道七・六段審査会の受審者増加

  名古屋での剣道七・六段審査、東京の剣道八段審査、剣道七・六段審査、いずれも前年より、100名ずつの増加で一致しました。
  受審日程も2日ずつになります。ご注意のうえ受審されるようお願いします。

断 片 選手権大会こぼれ話

①選手権者に子供たちが群がりサインを求める光景は、例年のことですが、本年は特に多く、正代選手はファンに7時過ぎまで応えたようです。それから規定によるドーピング検査を受け、8時頃開放されたとのこと。一寸良い話です。


②世界剣道選手権大会を来年に控え、大会への海外の関心も高く、韓国からは監督・選手候補総出の来場があり、その他、米国・豪州などの顔も見えました。


③大会の観客も増加し、本年は8千名の大台に乗ったとのことです。


④『剣窓』の申し込みが、11月5日から全剣連ネットショップで決済(クレジットカード、コンビニ払いなど)まで可能になりました。継続の方も同様に手続きできますので一度ご覧ください。アドレスはhttp://www.zenkenren-shop.com/jp/kenso/index.htmlです。

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