56回の歴史を重ねているこの大会で、剣連幹部が少年時代の記憶として残る47年振りの佐賀市での大会でした。その第9回大会は勝ち抜き試合で行われ、西軍中倉 清範士と東軍鶴海岩夫範士の大将同士の試合で締めくくられています。
この大会全国各地から選ばれた、女子10名、男子70名の高段者による、剣道界で最も格式あるレベルの高い大会として毎年続けられて来ました。東西対抗として対抗試合の形を伝統的に取っていますが、戦後始められた時期と異なり、人材の移動・交流が活発に行われる現在、以前は目立った剣風の差が薄れました。原則2年連続して出場できない内規のもと東西の選考委員会で選出された選手は、それぞれ負けられない雰囲気のもと、伝統に恥じない迫力ある大会が展開されました。
東西の勝負としては西軍33勝、東軍21勝と、西が優勢ですが、これはこの試合が始まった時代の西の勝ち越しが持ち越されているからで、この10年は5勝、5敗と互角の展開です。また東軍に九州出身者が6名(ほかに女子に2名)もいることは、九州が人材供給基地になっていることを示しています。
一方、平成9年に始められた女子対抗試合は、西軍が優勢で、東軍が3勝しかしていません。
さて大会は前座試合の印象が濃い、女子5剣士の対抗戦で始まり、先鋒から3連勝した西軍が、2連勝となりました。
続く本戦というべき男子の試合は、3組の六段剣士の対戦から始まり、例年のようにキビキビした試合を見せてくれました。
これに続くのは30歳台後半から40歳台中頃までの15組の七段剣士の対戦で、近年の全日本選手権大会で活躍した選手が続々と登場します。伸び盛りというべき七段の対戦では好試合がいくつも見られました。一つを取り上げるならば、24将戦の、栄花直輝(北海道)-下橋和彦(鹿児島)の試合でしょう。知名度では栄花ですが、これに肉薄して一歩も譲らなかった下橋との17分間の角逐は、優秀試合賞を受けるにふさわしい内容でした。
七段の対戦では近年の展開、東軍が優勢ですが、本年も10-6で東軍勝ち越して後半の八段戦に持ち越されました。
続く後半の17組の八段戦は、日本の剣道の水準を示す多くの好試合が展開されましたが、近年どうも東の分が悪い傾向です。今年もじりじりと挽回され、大将中田秀士範士と藤原崇郎範士の立派な対戦で幕を引きましたが、結局一点差で、西軍の2連勝になりました。八将から西軍に五連勝を許すなど、勝負の上では東軍に苦言を呈したい所ですが、全般的には内容ある大会を終え、個々の選手の努力、主管の佐賀剣連のご苦労を評価します。観覧席の一角に選手家族席を設けたのは行き届いた心配りでした。来年は山形市での開催となります。
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