春も間近の3月11日(金)の午後、東京・九段南の全剣連の役員室で私は2、3名の役員と雑談をしていたとき、大きな揺れが始まりました。ゆったりとした揺れはなかなか止まらず、遠距離で起こった大きな地震であることが直感されました。すぐに隣室のテレビで今回の東日本大震災の第一報を知りましたが、津波によるこれ程の大災害に連なるものとまでは想像できませんでした。
その後報道される情報から、この地震は東北の太平洋岸に、近世起こったことのない大きな被害をもたらしたことが分かってきました。外部への電話は通じないし、都内の電車はことごとく停止し、交通渋滞で自動車も役に立たず、職員も帰宅できない者が過半数となったので、一同籠城覚悟で事態の推移を見ることにしました。幸いビルには被害がなく、電気も水も止まらなかったので、被災地のことを思えば申し訳ないような状態で、一夜を明かしたというのが我々の大震災の日の行動でした。
その後に報ぜられた被害の状況は、想像を絶するものであることはご承知の通りで、犠牲になられた方に、お悔やみを申し上げると共に、多くの被害を受け、生活の基盤を失った方々、身内に犠牲者を出された方々のご心痛にはお見舞いを申し上げたいと思います。恐らくその中には剣道愛好者の方もおられる事と存じますが、心からご同情致す次第です。
さてこの度の災害は、歴史を振り返っても例を見ない国難というべき程のものであり、これへの対応、復興は全国民が共に努力すべきことでありましょう。そしてその原動力となるのは、これまで幾度も遭遇した難事を切り抜けてきた日本人の底力というべきものです。その人間力を養うのが、剣道の目指す所でもあります。お互いこのことに想いを新たにして、剣道人としての努力を重ねるべきと思いますし、全剣連も事業を進めます。
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