新年度の全剣連事業は、東京・兵庫の東西に区分して開かれる剣道中央講習会から始まります。昭和41年に第1回が開かれ、開催の規模・日程などは変遷を経ていますが、回を重ねて第47回を迎える全剣連の行う最も歴史ある講習会です。
この講習会、全国一本で行ってきた時期が長いのですが、講習会の運営と、各組織から招致する人数を考慮して、現在の規模・方式に落ち着いています。すなわち都道府県剣連からは最低2名、最高4名までの出席と、これに組織団体として区分している、学連・道場連盟などから出席者及び若干の余裕を活用して、剣連らの出席希望にも応えて、運用してきています。
本年度は、東日本は神宮外苑にある国立霞ヶ丘競技場体育館、西日本は神戸市中央体育館を会場として、いずれも3月31日(土)・4月1日(日)の2日にわたって開催されました。講習期間については、長年にわたり3日間を当ててきましたが、講習内容の整備・受講者のレベル向上・交通機関の整備・能率化などを考慮して、平成4年より2日間に短縮し、効率化を図っています。
講師については、東西の講習内容の相違を懸念して、同一の講師で行った時期がありましたが、講師要員研修会も行われるなど、講習内容の進化・統一化などの条件整備に伴い、別々の講師によるようになっています。
本年の講習会、東日本66名、西日本55名の受講者によって行われました。受講者に対する出席交通費は全剣連が負担します。 受講者は各連盟で指導陣の中核を為す顔ぶれであることは、剣道八段受有者が多いことで分かります。その数は東日本25名、西日本23名と合計48名の八段受有者が参加しています。
講習科目は、剣道指導法・日本剣道形・審判法の3科目が主体になりますが、近年は「木刀による剣道基本技稽古法」が加わり、さらに救急法の講習も行われます。以上の科目は全剣連編集の『剣道講習会資料』によって進められます(頒布しております)。
年度初めの歴史ある最重要講習会について、少しく説明を加えましたが、講習の成果、今後改良を要する点などについては、各専門委員会に持ち帰って検討し、さらに剣道研究会にも付議して改善を図っています。
本年度の講習会は講師・受講者が熱心に取り組み成果を収めたものと感ぜられました。講習会において、いつも受講者に要望することは「この講習会において耳新しいことを聞いて、各地に帰って伝える、いわゆる伝達講習を行うことではありません」。この機会に各人の指導力に、識見と厚みを加え、自身の指導力を高めて、各地での講習に当たって頂くことが目標です。従前は伝達講習として取次の役割が期待されていた時期がありましたが、この言葉は死語としたいものです。
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