新年度の講習事業として、審判・指導法の講師要員の研修がつぎつぎと行われています。その役割・目的について振り返ります。
60年前に剣道界が新しいスタートをしたとき、剣道の試合が最重点であり、大会の開催、試合・審判の規則の作成がまず行われました。そして戦前の心身の鍛練最重視の剣道から、スポーツ剣道として、女子も含めて急速な復興となりました。
その結果いわゆる当てっこ剣道全盛となり、その弊害が認識され、「剣道理念」も作成され、規則の改正も続きました。全剣連は全国的な講習を始め、内容向上に努力しましたが、効果は限定的でした。
全剣連はこの流れを改めることも目指して、試合・審判規則の全面的見直しを行うこととし、平成5年に改定に取り組みました。松永政美常任理事を委員長に、裁判官であった故石丸俊彦氏も加わり、体系・条文の整理も行い、この間、部分的には審議会などで激論もありましたが、地方へ出向いて説明会を行うなどして一般の理解も得て集大成され、平成7年に施行、面目を一新して現在生きている規則です。
規則施行後、審判講習は続けられましたが、審判の向上を通じての試合内容の向上、剣道の質の充実にはなお努力を要する所でした。
全剣連が直接汗を流して講習をやっても、全国的視点で見れば効果は限定的です。そこで長期的方策を検討し、迂遠な様でもまず講師になる人々の充実を図り、それらの人々の活動により、さらに講習の輪を広げていくのが、効果を上げる近道になるのではないかとの考えに落ち着きました。
そしてこの第1回講師要員研修会を行ったのが、平成12年9月であり、先日6月30日(土)からの講習会が、第26回となり、これを数回受講して講師認定を受けた人は154名になります。また遅れて指導法についての講師要員の研修会も始められています。
一方、平成7年より社会体育指導員資格認定の講習事業も始まり、指導力は全国的に上がりつつあります。
さて以上の事業進展に対応して、平成17年より、全剣連は指導の実行に当たり、軸足を地方に移し、一般の講習実務の実施は地方剣連に移し、全剣連は講師派遣などにより、これを支援する体制をとることに方針を転換し、実行しています。
このような方針における役割を担うことを期待する「講師要員研修会」であることを改めて強調させて頂き、今後の活躍を期待しております。
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