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寄稿「まど」

今月の「まど」
過去の「まど」一覧

今月の「まど」

平成24年10月号 第303回

(財)全日本剣道連盟 会長 武安義光

  夏の行事を終えて、各界いずれも活発に動き出します。剣道界は秋の大会シーズンに入り、国体・選手権大会・学生大会への予選が各地で軌道に乗り、盛り上がりを見せています。全剣連も関係の仕事に忙殺されますが、一方今後の発展を目指して、専門委員会も活動を強めています。

  世の中の状況を見ると、まず政治面では、民主・自民の両党で、総裁の任期切れによる改選が行われる時期になり、国会会期を終えた後、しばらくの政治空白期が続きます。また場合によっては近いうちに衆議院の総選挙が行われることも予想され、政界は落ち着かない状況にあります。これと時を同じくして11月に米国では4年に1度の大統領選挙の時期となり、民主党のオバマ現大統領と共和党のロムニー候補との間での選挙戦が進められています。結果によっては日米関係に影響をもたらす選挙戦です。

  このような時期に近海の日本領の島での中・韓両国とのトラブルもあり、ただでさえ外交面の姿勢が懸念されている現政権の対応が心配されます。

  国内では大災害の復興という大問題を抱え、世界経済でも多くの問題が押し寄せています。今後長期にわたるエネルギー供給への対応も、現実には原子力発電を抜きにして、考えられないはずですが、いわゆる政治的として、大衆迎合に走る落ち着きのない動きにある政権が心配です。ともかくもしっかりした政治を速やかに確立して、日本の将来を安定的に築いていくことが望まれます。

  今月の「まど」は、業務調整と専門委員会の活動にも目を向けて、動きを展望して行きます。


堅実な展開となった全日本女子選手権大会

  秋の大会の口火を切るのは、全日本女子剣道選手権大会です。この大会は戦後の剣道復活から10年遅れの、昭和37年に大阪市体育館で始められました。すでに申し上げているように、女子剣道は実質的に戦後の所産です。大会は回を重ねるごとに形が整い、内容も充実して今日に至りました。

  女子大会の会場は数年を区切って各地を巡回する方式をとっています。今年の第51回大会は、静岡県藤枝市の県立武道館から、会場を移して2年目、姫路市の県立武道館で9月2日(日)に開催されました。

  出場の剣士には去る5月のイタリアでの第15回世界剣道選手権大会(15WKC)の日本チームのメンバーが6名、更に大会前の強化選手に入っていた剣士が10名含まれており、世界大会を目指しての強化活動の余韻が濃く残された大会になりました。

  試合は活発な攻め合いの接戦が続く展開となりました。昨年を含め過去5回の優勝を飾り、今回も地元の予選を勝ち抜き19回目の出場を果たした村山千夏(埼玉県)の活躍が注目されましたが、2回戦で15WKCで個人3位、12歳下の川越愛(兵庫県)に敗れ退きました。

  15WKC個人優勝の佐久間陽子(山形県)は勝ち抜いて川越愛を破りましたが、4回戦で、好調に勝ち上がってきた宮川瑠璃子(山口県)に敗れました。

  第2試合場で勝ち上がったのは内田舞(熊本県)でした。9年前、旧姓・興梠の学生時代に、茨城県から出場して3位に入賞し、米国での11WKCにも出場のベテランです。選手権大会出場7回目の今回復活の大活躍、勝ち上がって準決勝戦で、宮川をドウで下し決勝戦に進みました。

  一方、第1試合場では山本真理子(大阪府)が勝ち進みました。3回戦で難敵・鷹見由紀子(千葉県)を下し、準決勝戦で、筑波大学生の新鋭・山口美紀(神奈川県)をコテで破って決勝戦に臨みました。

  こうして決勝戦は、山本―内田の対決となり、厳しい対戦が展開され、延長の末、山本が左ドウを決め、皇后盃を勝ち取りました。

  両者の角逐は決勝戦にふさわしいもので、5月の15WKCのメンバーでもあった山本の優勝は見事でした。一方、惜しくも敗れた内田ですが、7歳の年齢差があり、連戦の疲労に耐えながらの奮戦は立派でした。とくに延長に入った終盤、再度にわたり1本になったかと見られる技があり、惜しい勝負でした。

  今年の大会、選手の試合ぶりと内容から、今後の発展に期待を持てる充実した大会だったと思います。選手・運営に当たられた各位のお骨折りに謝意を表します。

表彰式での上位入賞者(筆者写す)
表彰式での上位入賞者(筆者写す)

専門委員会運営の調整も行う事業調整連絡会議

  全剣連の業務運営の中心はいうまでもなく理事会ですが、日常の業務のうち、大会を始めとする業務の調整を図る会議として、現業関係の事業調整連絡会議を持っています。これは松永政美副会長を議長として、各業務の主任となる常任理事をメンバーに、概ね毎月開催され、現業ともいえる分野の事業の進展を巡っての今後の進め方の報告、意見交換などを行います。総務・財務・広報などの分野は対象外であり、長期構想に関するものは別の会議で取り扱われます。

  関係の専門委員会に関する事項もこの会議として議題となり、必要な調整事項を確認します。

  9月に入ってのこの会議は11日(火)に開催されました。ここで報告されたいくつかの事項をお知らせします。まず学校教育部会では、中学校剣道授業指導資料として好評であった『剣道授業の展開』のDVD化の進捗状況が報告されました。剣道講師要員の研修の進め方、『剣道指導要領』の改訂の必要の有無を吟味するための逐条の検討が進められていること、強化関係では、選手権大会の結果も踏まえての女子の強化訓練がスタートすること、また国際では、来年ロシアで開かれるコンバット・ゲームズの世界大会の構想について、称号・段位関係では夏の審査会の結果についての報告が行われました。

  以上取り上げられた主な事項を述べましたが、この調整連絡会議の開催を通じて、各業務にわたる意思の疎通が極めて順調に進められていることが感じられます。

事業調整連絡会議の風景
事業調整連絡会議の風景

夏の審査会順調に終了

  夏に行われた剣道七・六段審査会は多数の受審者が挑戦されましたが、長野市・岡山市とも整然と行われました。両審査の実技合格率を見ると、七段は14.3%と16.4%、六段は18.9%と19.9%で、内容から見て妥当な結果と見られます。詳細は記事で御覧ください。受審者の皆さんと開催剣連の御骨折りに謝意を表しします。

剣道七段審査会(岡山市・桃太郎アリーナ)(筆者写す)
剣道七段審査会/岡山市・桃太郎アリーナ(筆者写す)

募作品が増加し賑わった「写真コンテスト」

  第16回を迎えた「写真コンテスト」。今年は応募作品の数も回復して、502点の中から入賞作品が選ばれました。今回の入選作品は剣道の美しさ、楽しさを表現した作品が多く、立派なものが多かったのですが、欲をいえば剣道の厳しさを捕らえた優れた作品があればと感じました。いずれにせよ来年のカレンダーに期待してお待ちください。

写真コンテスト最終審査の状況(筆者写す)
写真コンテスト最終審査の状況(筆者写す)

断 片

  ①去る9月8日(土)東京武道館で、東京都剣連主催第12回寬仁親王杯剣道八段選抜大会が行われ、関東からの剣士を加え、32名の実力剣士による大会が行われました。前年優勝の佐藤勝信八段(警視庁)、4月に行われた全剣連主催の全日本選抜剣道八段優勝大会で優勝した谷勝彦八段(群馬県)はいずれも1回戦で退く波乱ある試合が続きましたが、実力者を揃えた警視庁同志の決戦となり、栗田和市郎八段が、寺地種寿八段を下して、2度目の優勝を飾り、ご臨席の瑶子女王殿下より寬仁杯が授与されました。

  ②敬老の日に高齢の剣道高段者に祝いを贈呈 9月15日の敬老の日には、この1年に90歳を迎えられた七段以上の剣道高段の方に、全剣連より書状と簡素なお祝いの品を贈り、祝意を表しています。今年は全国の95名の方にお届けしました。


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