総務・広報編集小委員会委員 真砂 威
まず六段戦の木和田−東永、村木−若生、谷山−高鍋は、ともに警察の現役選手として活躍中、いずれも負けず劣らずの実力派揃いで、力量拮抗。
七段戦では、末益−井口、佐藤−岡本、旭−織口、彌永−染谷が見どころ。全日本選手権など勝負にかける年代をのりこえ、風格や品位を重んずる剣へ転換期にかかるころ。
八段戦では、まず、今春八段合格の佐藤−松下、“奥義に通暁、成熟。技倆円熟”の期待を一身受けて臨む。次に、そう快な剣風の山中、対する緻密な攻防の氏家、49歳と57歳、名剣士が年齢差を越えてまみえる。また剛力の上段山本に対する突き技が定評の壮士古川、大立ち回りは必至。最後は副将の末野−濱崎、大将の石田−梯でしめる。ともに若年時からの歴戦のライバル、範士となった後も切磋琢磨の誼(よしみ)がつづく。
全体を見渡せば、前半戦はやや東に傾き、中盤で西が盛り返し、後半は五分の張り合いか。女子の部も、いずれ劣らぬ名選手ぞろいで互角の戦いが予想される。
また木和田、若生、高鍋と女子の山本、佐久間、下川は、第14回世界剣道選手権大会(8月28日〜30日、ブラジル・サンパウロ)の選手、八将の神崎は女子監督、六将の古川は男子コーチ、女子大将の石田は女子コーチをつとめる。帰国後となる本大会には、それぞれが世界大会の結果をかかげての出場となる。
昭和29年に始まった本大会も、今年で55回目を数え、ついに「団塊の世代」がとりをつとめる時代に入った。剣道界の新しい幕開けを感じずにはいられない。
(文中敬称略)
※この文章は、月刊「剣窓」9月号に掲載されたものです。
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